第3話 お尻の検査
「じゃあ、お尻の力抜いておいてくださいね」
横向きで、両手両足一緒にくくられている僕の背中側にしゃがんだ彼女が言った。
視界の外だから、彼女が何をしようといているのかはわからない。
肛門にぬるりとした感触があった。ねっとりとした指の感触。
ローションか何かを塗られたようだ。
そして、すぐにその指が押し入ってくる。
う、うう。声が漏れてしまう。何とも奇妙な感覚だ。
指はさらにぬるりと奥に入り、ちょうどペニスの付け根あたりを押さえてきた。
変な感触だけど、切ない快感のようなものも感じる。
「いま、おちんちんがぴくんって動きましたよ。この辺が前立腺ですね。特に腫れてることはないかな。しこりとかも無さそうですね」
言いながら彼女の指は僕の中でじわじわ暴れまわる。
変な快感は徐々に強まり、時々突き上げるようなものに襲われる。
「あ、すごい。おちんちんの涎、たくさん溢れてきてますよ」
嬉しそうな彼女の声。
腕の間からのぞくと、確かに僕のそれはカチカチに勃起して亀頭の先端はぬらぬらに濡れ光っていた。
「ここって、男の人の性感帯なんですよね。開発していくと、ここの刺激だけでいくこともあるみたいですよ」
彼女の指先は、それまでの診察から、動きを変えていた。
あ、あ、ぴくんびくん、と現れる僕の反応を楽しむように、試すように刺激してくる。
「もう、勘弁してください。変な気持ちになりそうです」
もう少しされたい気分を抑えて僕が言うと、彼女の指はあっさりと出て行った。
なんだか名残惜しいような気がする。
ちょっと手を洗ってきます、と言って彼女が立ち上がる。
「すいません、汚かったでしょ」
戻ってきた彼女に、つい僕は言ってしまう。
「大丈夫ですよ。ビニール袋越しにですから」
そうだったのか。ぜんぜんビニールの感触はなかった。
「スーパーの生鮮食品なんかを買うときの薄いビニール袋ですよ。薄くてしなやかだから、いろいろ使い道あるんです」
そういうものなのか。僕は大きく息を吐いた。
「じゃあ、いったん解きますね」
彼女が僕の拘束を解いていく。
やっと手足が思うように動かせるようになった。
でもそれは一瞬のことで、すぐに右手首にベルトを通される。
そのまま手首は右ひざの内側を通るように、右足首に固定された。
「あの、まだ何かするんですか?」
僕の質問には答えずに、今度は左手首を同じように左足首に固定された。
こうなると両手が邪魔になって膝を閉じることもできない。
強制的にМ字開脚になってしまう。
「縛られていじめられることに、真田さんは興奮するんでしょ。私はその逆みたいです。いじめると興奮するみたい。真田さんの反応を見てると、ドキドキしてきたんです。もう少しいじめさせてください」
そういうことだろうとうすうす思ってはいたけど、はっきりそう言われると困ってしまう。
このままでいいのだろうか。いや、いいわけないよな。浮気ってことになる?
頭の中でいろんな思いが交錯するなか、彼女は無造作に僕の股間に手を伸ばした。
恥ずかしい格好で固定されただけで、僕のそこはすでに完全勃起状態。
彼女は手のひらで僕の亀頭を優しく撫でまわしてきた。
カウパー腺液でぬるぬるになった先端を、ゆるゆる刺激してくる。
「こんな感じで、どうですか?気持ちいいかな?」
「はい、すごくいいです」
彼女の掌が、執拗に僕の物の先端だけを刺激する。
すぐに行きそうな気持になってきたのに、最後の一線をどうしても超えきれない気分だ。
亀頭のふちのかりの部分の刺激が薄くて、このままじゃ射精するところまでいけないのだ。
「なんか、行けそうなのに行けない。じれったいです」
できることなら自分の手で思い切りしこりたい。でも、手足を縛られている今はそれができない。もどかしさにおかしくなりそうだ。
「亀頭責めっていうんですよね。ここの先っぽだけ刺激するの。行きたくてもいけないでしょ。わざとやってますから」
「そんな。もう行かせてください。我慢できない」
身をよじる僕を、彼女はうれしそうに眺めている。
「まだまだ、もっとゆっくり楽しまなきゃ。もったいないですよ。真田さん、奥さんから淡白って思われてるんじゃないかな。ちゃんと奥さんをいかせていますか?」
余計なお世話だと言いたいのをこらえる。
考えてみるに、彼女の言う通りかもしれないからだ。僕が行けばおしまい。
セックスで嫁さんを楽しませるという気持ちは、薄かったかもしれない。
何度目かの絶頂感が近づいてきた。もう少しで行きそうだ。
じれったい刺激ながらも、行きそうな気がしてきた。
「おっと、ちょっと休憩しましょうか。行きそうでしょ」
彼女が手を止めた。どうしてわかるんだろう。
この後、どこまでやられるんだろうか。射精したい寸前で、何度も急ブレーキをかけられるのを、延々と続けられるのだろうか。
天国のような、地獄のような、その先を想像していると、僕の物は痛いくらいに硬くなっていった。
彼女の手が再び僕のものを握ってきた。
更なる快感の始まりに、僕の魂が打ち震えていると、電話の着信音が聞こえた来た。
彼女のスマホのようだ。
立ち上がり、スマホを持って耳に当てる彼女。
二言三言の後、電話を切ると、彼女が言った。
「今日はお開きですね。すいません、急用が入りました」
何ともあっけない終わりだった。
僕はお互いのラインを交換し合った後、彼女の部屋を出た。
エレベーターが昇ってくるのを待つ間、次はいつになるのか、そんなことばかり考えていた。
階下の女王様 放射朗 @Miyukiharu
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