第9話 宴。
何年も、女王制度が続いたある日、幼いドルチェが男装していた。義理の妹として引き取られた近しい貴族の妹ーーーカランドは不思議に思った。素敵な遊びね。
『どうしたの?お馬に乗ってるうちに王子になったのかしら』と、くすくす。と鈴の声で笑う。
ーー『コレは占い師に聞いた話さ。コレをまとっていれば、いつか王子が目の前に現れるんですって!』
ーーー『王子さまに憧れるの?あなたが?おかしなの。笑っていいかしら?』
ーー『意地悪だな君は。』
そんな過去を思い出しながら、あまり上質とは言えないワインに口付けていた時、モデラートが顔を出す。
「自己申告をしていいですかね、物思いにしている最中悪いですが。」
「なんだ?言ってみろ。」ワインのグラスを空にしてから聞く体になるドルチェ。
ーーー「俺は、ビートの娘と恋仲になろうと思いますよ。」
ブハッ、、。咳き込む王殿下はとても人前ではできない唾を飛ばすという手前をしてしまった。
、、、「もう一度、、、言ってみろ。。」
「俺はビートの残した娘ーーエンデレスと結婚します。」
ーーガハッゴホッ。本日二回目。
モデラートが髪をいじりつつ顔を真っ赤にして聞いてきた。
「そんなにおかしなこと言ってますかね?俺。、」
手を降ってやった。
口は急いで紅を拭き取って。
「言っていることはおかしくないが、、急すぎるだろう?会ったばかりだと思うんだが。」
「もう、一夜も過ごしている、、、恋ではないかもしれんですが、恋人です、、、。。」
「それはいつか聞いた、、どっちかからだったかな、お前達ってのは性急過ぎないか???」
「あんたが王として完璧すぎるんですよ。。もうちっと遊ぶことも考えないと。」
ーーーー。。
「やべ、俺、地雷踏みました?」
「いや、ちょうど、お前が顔を出す頃合に、子供の頃のことを思い出して、、な。。」
ーーーワインの肴を簡単に口にした。ずっと隠してた少女心。隠していた王子の現れ。そしていつまでも占いを信じて男装していること。
それを聞いた、モデラートは最初は同情気味だったが、突然閃いた顔をすると、笑い出した。
「なんだ?何がおかしくなった?」
「ーーだって、いるじゃないですか!?王子さまは!!」
頭の回転をスピードあげる。そして行き着いたのは、この前来た、、妹の遺した男児。。彼は『王子』だ。ーーーーとうとう、自分も笑えてきた、、そういうことだったのか!!ここはもうアイツをもらうしかない!
「結婚式は同時にしましょうや。」
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