第8話 王殿下の王宮での大宣言。

ここはレガート王国の煌びやかに模造された美しく住み心地の良い宮殿。

グリュックは馬車に乗せられて、移動中、黒い男から、『君はコレから、王宮の広間に集まる貴族達にも王子だと宣言してもらう。』と、半ば大真面目に言われた。


言われたとおり、兵士たちが別れて、黒い男は王宮殿下が座るであろう、玉座のそばに控えて。もう片方の兵士たちグリュックを謁見の柵へと置いといた。

見張と守り、両共をかねているのだろう。


また、今度は、ラッパではなくて、弦楽器の(多分そう)(マムに教わったとおりなら)美しい音色が流れた。

そしてざわつく謁見の場にいる銀の少年をハラハラと見守る貴族達。

そう、弦楽器の音色とともに現れたのは実に美しい男性だった。いや、女性かもしれない。

とりあえず身長は高かった。顔も、いつか祈祷室でみた、美しい肖像画のままだ。


そこで驚いたのは、後ろでまっすぐに王の男性のマントの裾を持って歩いてきたのは、赤い髪の女ーーー誰よりもーー知っている女ーーー自分の姉だった!!


なぜここに?急に落ち着かなくなった少年に対して、自前に情報をえている兵士が耳打ちをする。

(彼女は初めから王宮にきたんです。彼女の情報により、あなたを見つけることができた次第。。殿下。落ち着いてください。。、。。)


ーーなるほど。。もし、姉が王宮に行かなかったら、売りものにされていた可能性があるのか。一本とられたな。

ここはまっすぐ王に感謝しよう。。あそこに孤児院があるのもここの王のおかげさまだろうし。

ここに連れてこられたのは偶然でもなく必然だったわけだ。


黒い男が手をあげると弦楽器が止まる。

「ここから王殿下と王子候補の青年のお話が始まります。どうかご静粛に!」


シーン


静かになる広間。

みなが王殿下の言葉を待っていた。

広間に響く美しいテノールの声で、言う。

「おかえり王子。我が子、グリュックよ。」

ーーーー僕は深く呼吸して静かに礼をただして挨拶し返した。

ーーー広間に聞こえるように。

「あなたの王妃の息子ーーグリュックです。これからよろしくお願いします。王殿下。。」


おおおおおおー、と喚く貴族達!!

中には感動のあまり、泣き崩れる方達もいたぐらいだ。

「初めての男王だ!宴だ!宴の用意を!!」

「なんと言うことでしょう!何年後には答えが待っていると言うのは嘘では無かったのですね、ドルチェ殿下!!こういうことまで計算できるとは!!さすがです!」


謁見広間は大きく歓声で揺れていた。

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