第7話 孤児院に大パニック。

『王子を迎えに』

そう、いう、おふれが、とうとう王国の端っこの孤児院に届いた。

『マム』は「やっぱりね!私の目は狂いが無かった!」と、鼻息荒く、それでいて、少しばかり落ち込んだり笑んだり、泣いたりを繰り返していた。

理由を聞くと、ここの孤児院の子達を忘れたことなんて一度もない。

ここはみんなのもう一つの故郷だと言って欲しかった。そうして笑い。

それにあんたを買いたい、いやらしい目的で!なんていう貴族達にもビンタで追い返してやったのが報われる!とおいおい泣いていた。

そう言って泣いてる院長マムをよしよし、と、慰めた。

みんなも、マムとグリュックをおもんかばって、お手紙を書いたり、彼らにとっての宝物を渡したりした。

「おーじになってもぼくたちをわすれないでね。」

「毎日顔を合わせてたのになんか不思議だな!」

「あのさ、無理かもしれないけど、俺たちのことーーわすれんなよ!!」

ーー「ありがとうーー皆んな。。」グリュックは笑んだ。ここにきてよかった。

ーーー(王宮どんなところだろう?姉はどうしているだろうか)

ーーーーー自分だけがこんな幸福でいいのだろうか。


ーーー王宮出迎え当日ーーー

マムは泣くのをやめて、仕事の顔をしていた。

友達たちもぎゅっと手を握って緊張していた。


ガタガタコトコトと言う、馬車特有の音が聞こえた時、ファンファーレ(ラッパ隊の音)が外から聞こえた。

とうとうきたのだ。

「みんな、お外に出ましょ。」

マムがぼくたちを外へ追いやりたり、赤子や小さい子供を背負って表へ出る。誇らしい顔だった。ぼくを守り切ったのがそんなに嬉しいことなのか。

ぼくは

「ありがとうマム、、いつか、、また会おうね。。約束する。」

いつのまにかそんな言葉が口からでていた。

ハッと驚き、一瞬瞳の潤んだ彼女は、少しやめて笑顔で返してきた。

そうして最後の撫をした。

「私こそありがとうよ、、、。この国を平和にね。」


それをみていた黒い格好の男性がゴツホンと気を引こうと、嘘くさい咳をする。

気づいた時には、僕たちは少しばかり、今のやりとりが恥ずかしくなって、シャンとした。今更だけど。


馬車はいつのまにか孤児院の眼前だった。

黒い美しい男性がぼくの背に合わせてかがみ込み、手を差し出した。綺麗なバスとテノールの合間の声で言う。

「迎えに上がりました。グリュック王子。私は宰相のモデラートです、、。。大変長らく時間かけて申し分ありません。」

ぼくはなんとなくむかついたので、、反抗的に言った。

「ここでの時間は最高でしたよ。いい孤児院をお持ちですね。この国は。あなたと王を誇りに思います。」

全然、反抗的にもなっていないことに気づかず、グリュックは言ってやった。


ーーそのセリフを聞いたその場の全員、貴族、宰相、マム全員が彼を誇らしく見つめた。




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