第6話 エンデレスとモデラートとドルチェ
王にあって欲しい。
エンデレスは宰相と名乗って護衛兵を少し連れた、その男に頼まれた。
立場から言えば、断れない命令だ、、と思った。
しかし、王には聞きたいことがあった。
父と母のことだ。ティアラは私が、ペンダントはグリュックがそれぞれ持っている。
コレを見せてやりたい。
彼女達は幸せだったと。
伝えたい。
ーー王の寝床ーーー
ここには女性兵と、先ほどの黒い男、宰相「モデラート」しかいない。
「寝床にですまない。少々、煩わしいモノがきていてね。女のツキモノさ、、ーーー」
突然だった。軽い寝巻きに着替えていた銀の髪と青い瞳の女性か男かわからない容姿の中性的な王殿下は、股から赤い血を出してシーツを汚し汚し、全裸に近い格好でエンデレスと面会した。
慄いたエンデレス。ツキモノはまだ自分にはきていないから、不気味だったのだ。母さんもよく寝床で血溜まりをつくっていた。水浴びを何回しても落ちぬその血を少女たちは不思議にみていて、父はいつも動くときの彼女の腰に手を添えていた。
「なるほど、どこからどうみても、ビートの血を引いてるとしか思えない容姿だな。。コレで人違いは通らんか。噂ってのは正しい時もあるんだな。コレ、もうちょっと近くにきてくれんか。」
ええ、、と、戸惑うエンデレス。
おずおずと、いうとおりにして、懐からティアラを彼女?彼?の前に差し出して、頭を垂れた。
「コレは母が遺言で言っていた、この王国の12代目を記す、ガーネットの石だと聴きました。あなた様の妹君のモノです。決して盗んだモノでなく、彼女自ら私たちに受け継がせたモノです。」
うんうん、と、頷き、赤い頭を優しく撫でる。
暖かくやさしい手つきだった。
母とも違う不思議な温かみだった。
「名を聞いてなかったな。私は一応この国の王。『ドルチェ』と言う。お前はなんと名付けられた?聞きたいな。その可愛い口から。」
なんとなく照れて、それでも礼儀を忘れずに頭をあげて、静かに言った。
「私の名はエンデレス・マーレット。弟の名は、グリュック・マーレットです。」
その場にいた全員が的外れに驚いた。
ーー『「弟だと???」』
ーー私、何か変なこと言ったかな?
「つまり、お前の母、私の妹は、ーーー息子も、男児までも残したのか?ーー失礼に聞こえるだろうが、、それは王族として聞いておきたい。。不愉快に思うのも無理ないが、詳細挟んでよく話しておくれ。その弟はどうしているんだ?」
彼とは別々に行動していると聞いた彼らは急いで、王国中におふれを出した。
グリュックらしき人物が孤児院にいると言う噂がきたのは、随分経ってからだ。
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