第20話:「未来への一歩」

 ララシルの村での宴が明け、静かな朝が訪れた。エルフたちはそれぞれの生活に戻り、ガルドたちも次の行動に向けて準備を始めていた。だが、その中で、シェリアは一人、悩みを抱えていた。


「これから、どうしようかしら……」


 シェリアは村の外れで、小さな湖を見つめながら独り言を呟いていた。ゼヴォルスとの戦いを終えた今、彼女の中で一つの区切りがついたように感じていた。だが、これからの自分が何を目指すべきか、明確な答えが見つからずにいたのだ。


 彼女はガルドたちと共に戦い抜き、多くの経験を積んできた。ガルドの背中を追いかけながら、シェリア自身も成長してきたことを感じていた。だが、ガルドはいつもエリシアの隣にいる。二人の絆の強さを目の当たりにして、シェリアは自分がこのまま彼らに付き添っていくべきかを迷い始めていた。


「私は……何を望んでいるんだろう?」


 その問いに答えは見つからず、シェリアは自分自身の心の声に耳を傾けていた。


 その時、ガルドが静かに近づいてきた。


「どうした、シェリア?」


 シェリアは少し驚きながらも、ガルドに微笑みを向けた。


「ただ、これからのことを考えていただけよ。ガルドたちは次にどこに向かうつもりなの?」


「そうだな……俺たちはしばらく街に戻って、今後のことを整理するつもりだ。だけど、シェリア……お前はどうする?」


 ガルドは真剣な眼差しでシェリアを見つめた。彼もまた、シェリアが自分たちと共に旅を続けるべきかを考えているようだった。


 シェリアは一瞬、言葉を探すように口を閉ざしたが、すぐに静かに口を開いた。


「ガルド、私は……自分の道を探すために、しばらく一人で旅をしたいと思っているの。もちろん、また会う時が来ると思うけど……」


 その言葉には、決意が込められていた。シェリアは、自分自身の力で何かを成し遂げるために、ガルドたちの旅から一旦離れる決断をしたのだ。


「そうか……お前が決めたことなら、俺はそれを応援するよ」


 ガルドは少し寂しそうにしながらも、シェリアの決意を尊重した。彼もまた、シェリアが自分自身の力で成長することを理解していたのだ。


「ありがとう、ガルド。私は……もっと強くなって、いつかまた会いに来るから」


 シェリアは微笑み、ガルドに手を差し出した。ガルドはその手をしっかりと握り返し、彼女の未来を信じて送り出すことを決めた。


 その後、シェリアはガルドたちと別れ、再び旅立つ準備を始めた。彼女はこれから自分自身の冒険を進めていく決意を固め、強い意志を胸に抱いていた。


「……いつか、また必ず」


 シェリアはそう呟きながら、静かに森を抜け、次の目的地へと進んでいった。


 一方で、ガルドたちも次の行動に向けて準備を進めていた。シェリアと別れたことで、少しの寂しさが胸に残ったが、ガルドは彼女が成長し、再び仲間として戻ってくることを信じていた。


「さあ、次は街に戻ろう」


 ガルドはエリシアやエイリスに声をかけ、旅の準備を整えた。彼らの冒険はまだ続く――だが、確実に新たな未来が待っている。


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