第13話

6時間経過した時には私は店内にあった駄菓子をぱくついていた。

リーシャとて無粋な方でないと思ったているので、話に水を指すことはなかったが、流石にさしても良いかな。

大統領の護衛達は気配を消していたが、側に居る。

良く付き合えるなこの人達。

仕事だからとしか答えようがないだろうけど。


「あのお、そろそろ、この建物に私を呼んだ理由を知りたいと思ってるのですがー」


もう待てないと声をかける。

3人は声を止めてきょとりとした顔を揃えた。


「あ!そうだったね。すまない」


大統領忘れてたよと照れていた。

照れる場面だっけ?


「ここに呼んだのはこの施設を利用してほしいから。作ったのでお披露目の為にね」


「私達は船がありますよ」


「それは地球の外だよね。中にも安心して過ごせる場所があると良いかなって」


「大統領、過保護だなあ」


「あと、私もここに来たいからねっ」


「本音でしょ最後の」


「あははー」


大統領が恐らくテレテレしている。

仮面を付けていて、顔色など分からないけど、彼はとても感情豊かである。


「大統領、地球はどうですか?」


「我が星が介入すれば無敵な星になるだろうね」


「そうですか」


大統領がキャラクター大国をみすみす無くす真似をしないだろうと思っていたが、うまいこと事を運べたらしい。

良かった良かった。


「ノラえもん効果がここまであるとは私も凄く予想外です」


アルメイは染み染みと感想。

私もウンウンと頷く。

ジャニクは大統領の仮面姿に問いかけている。

大統領、俺もそれつけたいと。

どこで売っているのか、と聞く。

大統領はどこにも売ってない。

私の手作りだよと嬉しそうに自慢する。

確かに自慢したくなるほどのクオリティー。


「俺も欲しぃな。作りたい」


「大統領直々にこの設計図を見せて、教えてあげよう」


大統領、学校の先生もたまにゲストでやってるって聞いた。

大統領ちゃんねるにて公開されている動画で見たことあるかも。

毎日配信していて、大統領って多忙な仕事だと記憶していた。

かなり、めちゃくちゃ、とてつもなく。


「大統領まじ愛してる」


「ハッハッハッ」


大統領、まんざらでもなさそう。

めっちゃ嬉しそうだ。


「アルメイも知りたいなら教えてもらおうぜ」


「私は家でじっくり作りたい派なんですよね。自分だけの唯一無二な仮面が欲しいです」


「お前細かいな」


「細かいからこそ、複雑なものが作れるのです」


「まぁまぁ、大統領。その仮面の作るキット、作るように販売しませんか?」


「追々作ろうと思ってたよ。まだレトロブームの波を作ってないからねえ。ときじゃないかな?」


「大統領って色々考えてるんだな」


「もう少し前にその回答を得る機会は沢山あったと思うんだけど。大統領の頑張りが足りないのかなあ?」


「いいえ、ジャニクを理解させるには普通の何十倍も時間が掛かるので、妥当だと思われます」


アルメイが補足する。


「そうだな。俺は結構鈍いって言われるぞっ」


ジャニクすらも合意の性格だ。


「そっか。私はどんな君でも受け入れよう。なんせ君達はアニメ布教隊という、私の人生に彩りを与えてくれたもの」


大統領も結構長生きしていると聞いたんだけど、そんな人に彩りを与えられたなんて私もびっくり。

でも、楽しそうだから楽しんでいるんだなって布教した甲斐がある。


「実はゼクシィのノラえもんミュージアムの拡張も計画してる」


「知ってました」


予想は皆してるよねー。


「知ってたの?流石は作者だね」


「いや、大統領。私は作者じゃないですよ。知ってますよね?小説全巻に私が考えたのではないって記入してますから」


皆が勘違いしないように布教するときは丁寧に説明している。


「知ってるよぉ。私は君の全ての大ファンだもん!それを分かっていて君の大ファンで居続けると決めてるからね」


大統領はやっと仮面をヨイショと外す。


「地球の歴史も調べたりしているから、色々納得したよ」


「知ったんですね」


「うん。でも、私の気持ちは変わらないよ」


「そうですか……」


「私達が彼女に書くように勧めました。他に考えた方が居たと聞きましたが、今のままでは地球との距離は縮まらないとアドバイスも」


アルメイは庇うように私の前に立つ。

しかし、大統領は落ち着いてと告げる。


「大統領のアニメ愛は変わらないから安心して。地球と交友を結ぶのはとても良い刺激になると皆、ホクホクさ」


頬を緩ませて彼はほのぼのと笑う。


兎に角、感謝を述べたかったのだと説明される。


「君達のサポートは変わらず約束するよ。リーシャくんは地球のことを詳しく知っているみたいだし、良質なアニメを私達には紹介してくれ」


うちの大統領は宇宙一イケてる。

私はゼクシィに生まれた瞬間に大勝利していたんだなぁ。


ゼクシィ談話に花を咲かせる3人を尻目にリーシャは再び、ボリボリボリボリ、と駄菓子を食べていた。


「んぎゃ!」


「「「!?」」」


私の悲鳴に3人は何事かとこちらを見る。

自身の身に起きたことは、久々過ぎて忘れていたことに生理的な涙が出る。


ロシアンルーレット形式の三つ入っているガムだ。

それを三つ食べて確実に当たっただけ。

しかし、酸っぱいなんて味覚、久しく感じたことがなくて舌が驚いている。


「どうしたんだ?」


「あー、これの味が……驚いて」


「このお菓子?何に驚いたんだい?」


3人にこのガムの説明を詳細に言えば、へぇへぇと聞き入る。

食べたいなと3人はガムに興味を示す。

いくつも同じものがあるので取り出すと3人は3セットだ。

一つを3人で分けないんだ、と見ていた。


どう反応をするのかを見ていると、3人共酸っぱいガムを口にしてスッパ!と目を閉じ口をすぼめていく。

私はホラやっぱりと3人を労う。

麦茶を入れて配る。

本当はヨーグルトとかの方が良いのかも。

3人にはまだ早いかな。

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