第14話
大統領は引き続き居座り続けた。
彼は映画の未来のミュージアムを本格的に作りたいと提案して、私を見遣る。
勿論、お好きにどうぞと許可。
私はアニメを持ってくるという仕事兼趣味に浸るのだ。
あと、好きなだけ地球食も食べる。
その後3時間程話し出したのでリーシャは暇になってアニメと漫画を視聴。
いつの間にか両側に幼馴染ズと大統領(マント付き)が座っていた。
話していたのに行動早っ。
どれだけアニメに釣られてるんだろう。
可愛いとさえ、愛おしいとさえ思えてくる。
「これはなんのアニメなんだ?」
ジャニクの質問にこれは「携帯獣だよ」と教えてあげる。
「え!?これ携帯獣なのかっ?」
「ということは、いつも歌っていた主題歌のアニメなのですね」
「携帯獣??なにそれ?大統領、それ知らないよ??どういうこと?」
大統領がちょっとずつ迫ってきている。
ノラえもんと同じく鼻歌を彼らだけに披露していたのだと教えると、彼は何故それを皆に教えてくれなかったのかと、泣きそうな勢いで言う。
「携帯獣はゲームだけでアニメは殆ど見なくて、シナリオも知らなかったので書きようがなかったんです。辛うじて主題歌だけは耳に残ってました」
「大統領だけには教えてほしかった、な?耳打ちしたり、こっそり、とか」
流石に大統領に接触する勇気はなかったな。
リーシャは緩く笑うと携帯獣のアニメをセットで渡す。
「こんなに!?漫画まで!?」
大統領はアニメと漫画にあ然となる。
「俺等もまだもらってないのに」
ジャニクのセリフに大統領の興奮は加速する。
「ふうん。リーシャくんの次に二人目は私なんだあ。ふうん。ふうん」
大統領がふうん大統領に変態しそうだ。
「えへへ。えへへっ。よーし、今夜は6徹だ」
「大統領、寝てくださいね」
リーシャはすかさず釘をさす。
アニメは逃げないので。
増えていくことはあるが。
「携帯獣には映画もありますよ」
追加情報に3人はお祭り騒ぎだ。
「電気鼠可愛いです」
一話から視聴しているとアルメイがほわわーんとつぶやく。
まるで恋したなにかだ。
アルメイに電気鼠のぬいぐるみを渡すと残りの2人も羨ましい光線を浴びさせて来るので、違う携帯獣のぬいぐるみを渡した。
なんだこの可愛らしいキャラクターは!と騒ぐ。
「私にはノラえもんというものがっ」
葛藤しているゼクシィトップに私はあはは、と助言した。
「アニメを丸ごと愛せば良いんですよ。私達もアニメ布教隊ですから」
「そ、そっ、そうだ!アニメ布教隊!私は君の大ファンでアニメ布教隊のサポート役なのだからアニメを全て網羅しても良いのだよね」
「ええ」
リーシャはこくりと頷く。
ライトユーザーでも沼にハマるユーザーでも好きならば好きでも良いのだと囁く。
「携帯獣、凄く面白いから楽しんで下さい」
「電気を発するネズミ、皆さんもメロメロになりますよ」
「だね。地球でも不動の可愛いキャラクターに食い込んでるから」
「ノラえもんは負けないぞ」
「負けてないですよ。勝負もしてないです。かわいいは平等に皆に好かれているので」
何故か大統領が張り合おうとしている。
電気鼠の可愛さに屈しかけてる。
「鳥のキャラクターも可愛い。出てくるキャラクターが全部可愛い」
と、3人は目が釘付け。
「あれ?さっきゲームって聞こえたような」
ゼクシィイチ賢い大統領が思い出しちゃった。
「ゲームありますよ。かなり昔からなので本数もあります」
「その前に、ゲームってあれだよな?アニメを好きに動かせる機器」
ジャニクらは教えているので知っている。
欲しいコールが出るものの、私はアニメを教えたい。
ゲームは大統領に丸投げ。
2人は大統領の肩を揺する。
護衛達はぴくりとも動かず。
当然、脅威ではないからだろう。
「大統領ー。ゲーム買って、買って買って」
基本的にジャニクが話してアルメイが無言で揺さぶっている。
「分かった分かった。交渉しよう」
孫に強請られる祖父か、と突っ込んだ。
携帯獣シリーズはシーズンが多いから、なかなか見終わらないだろう。
「決めたぁ!携帯獣ミュージアムも作るぞぉっ」
65話辺りで叫ぶ大統領。
私?
私は流石に連続して見るのは無理だったので、違うアニメを見始めた。
漫画もぺらぺら読むと、アルメイがじ~っとこちらを見ていた。
正確には漫画を一緒に読んでいる。
「この漫画はなんというのですか?」
「スパイクファミリー」
「スパイクファミリー、ですか。面白いのですか?」
「うん。地球ではかなり人気なんだって」
スパイクファミリーは3人の家族がそれぞれバラバラの思惑で繰り広げるギャグ漫画だ。
「私もそれを読みたいです。貴方の面白いと感じるものをもっと知りたい」
「構わないよ。買ってくるね」
これは地球人に模して買ってきたので1人分だけしかない。
買いたいのは山々だが、気に入ってくれるかは不明だったので、反応を見てからと決めていた。
「スパイクファミリーもアニメ化してるからそれも買ってくるね」
地球のお金は大統領が両替してくれた。
太っ腹だ。
なんなら、あげるよと国家予算なのでは言いたくなる値段をぽんと渡されそうになったが、慌てて首を振った。
私が幼児のままで地球のトップの前に来たのは、ゼクシィとの交渉を潤滑にする目的で会った。
後はもうこちらは好きに出入り可能。
完全に自由に出来る。
一々伝えていたら、監視が付くので嫌だ。
というわけで、技術力モリモリで活動している。
たまには、会いに行こうかな。
ゼクシィ大統領は会いに行っているのかな?
画面越しな気がする。
「大統領は首相達に直接会ってるんですか?」
「会ってないよ。会ったら慣れちゃうからね」
地球側が慣れる事はないと思うけど。
会う度に緊張してしまうよきっと。
私だって同じ立場ならば、お腹が痛くなる。
大統領は私にはノラえもんを知り尽くすという日課があるから、と、胸を張る。
確かにそれは忙しそうだ。
生暖かい笑みを浮かべて、私はそのまま建物に出た。
家に縁側が欲しいな。
と、不意に思う。
この建物を見ていたら欲しくなった。
でも、この側だけレトロな駄菓子屋もなんとも懐かしさを訴えてくる。
私の住んでいた地域ではもう無くなっていて、既に駄菓子はスーパーに並んでいた。
そのままテクテクと歩く。
軽い散歩。
この草が生い茂っている道はまさに地球の光景だ。
ゼクシィにも草木はあるけど人工物。
このような感じで生い茂ってない。
雑多な感じがする地球らしい青々とした空気。
水もあるので植物がなくなることもない。
アスファルトと踏むと、この感覚も久々で、ゼクシィでは基本的に移動は飛行しているので、こうして地面を歩くのもあまりない。
「地球を諦めなくて良かった」
風がざあざあと髪を揺らすのを、まるで揺籠で揺られているみたいだと、目を閉じた。
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