第3話
父達がゼクシィの星間に関する施設に連絡してくれて、地球へ交渉して着陸許可を取るようにしてくれるらしい。
大人に頼れるとはこんなにも幸運なのだ。
その間に3人で星の船、星製のポッドを見に来た。
カタログでこの船という目安はあったが、地球が見つからず買わなかった。
一番最新の船を買うので店員さんもかなり積極的かつ親身にアドバイスをくれた。
「やっぱりAI完備は当然で、キッチンやお風呂も必要だから」
「キッチンに幅を取り過ぎでは?」
御城のキッチン並みで、この星ではオーダーメイドとなる。
うちの家にも設置する予定だ。
「いーの!2人も絶対にキッチンが大きくて良かったって言うから。これ予言」
「出た。リーシャの予言」
ジャニクはケタケタ笑う。
本棚もたっぷりと。
そんなにいらないのではという意見すらこれ以上2人も欲しくなると断言。
そのためにめちゃくちゃ大きな船にした。
アルメイ達はそんなわけないでしょと言う。
2人にはアニメを布教したので小説や漫画を想定してないのだ。
私は知っている。
アニメを見たら原本が欲しくなる。
キャラグッズやアニメの関連グッズも欲しくなる。
2人の部屋もあるのでオタク部屋が出来上がるのが今から楽しみだ。
星船を買って一段落したので、読み聞かせスケジュールを立てたので、予定通り読み聞かせを行う。
他のスタッフも雇っているので私達が居なくても読み聞かせは行われる。
娯楽として成立して、大人気になってしまったので国が私の名前で会社を造ってほしいと要請されて、地球とやり取りがしやすくなるかもと建てておいた。
まだ子供だから経営は国に任せている。
お陰で収入には困っていない。
小説で得たお金で劇場で公演したりしている。
地球での娯楽を本格的に取り入れればもっと盛り上がるだろう。
国には国を円滑に回す機関が沢山あると説明していたが、勿論代表者は居る。
凄い普通に家に来るようなフットワークの軽い人柄だ。
この星は全員フットワークが軽いんだけど。
家に来たら来たで、小説を読んだよ、とかビクトリア調の家具も買ったよ、とか言うんだよ。
私のファンでした。
小説に書いていた食べ物について事細かに教えてと請われて教えたものの、やはり未知の味覚だから想像しなかったらしい。
この世界の味覚のレパートリーは不味い、固い、無味。
ここに柔らかさも追加されちゃう。
はぁ、とため息を吐いて出された食べ物を無の境地で食べた。
「ぐぎぎぎ」
「そんなに苦心して食べるようなもんじゃないのに、お前って大変だな」
「私達と味覚が違うので致し方ありませんよ」
と、過去の追憶に目が死んでいく。
あー、あー、あー、日本食食べたい。
食べたい食べたい食べたい。
「日本日本日本日本」
「ニホン発作も出てきたぞ」
「落ち着いてください。あと少しで地球へ行けるのですから、あとは目と鼻の先です」
二人が落ち着くように伝えてくるけど、近くなったからこそ、耐えられなくなっている。
地球を破壊しようとする異星人が居たら私の愛銃『エピローグカノン』にて阻止する。
それくらい地球の食べ物に希望を見出していた。
そりゃ、他の星の食べ物だって手に入るんだけど、地球の旨み成分には勝てない。
あれは悪魔の調味料なのだ。
あ、因みに不安な人達に説明するとエピローグカノンの効果は気絶とかだから殺傷能力はない。
子供にそんな物騒なものを売る店などないのだ。
「っっ、メロンパンメロンパン食べたい」
メロンパンなどウインナーパンよりも可でも不可でもない食べ物で、普通に食べるものだという意識だったのに、今は食べられるのならいくらでもお金を払う。
それくらい、酷い空腹感に陥る。
「今度はめろんぱん発作ですね。めろんぱんも食べられるように頼みますから」
アルメイは無表情だが、優しく言い含める。
ほわー、優しい幼馴染ってかけがえが無さすぎる。
こんな発作に陥る幼馴染など放置しても誰も責めないのに。
「うー、すまないねえ」
「ぶぷ、なんだよそれ!お前って面白いよなやっぱ」
ジャニクがニカッと笑いながら言うので私もふふっと笑う。
アルメイは無表情だが雰囲気は楽しそうなので同じ気持ちなのだろう。
彼女は表情を変えることはないがマメなケアをしてくれるのでいい子である。
なんか、天才ゆえの弊害とか昔に聞いたけど、優しいのは知っているので私達にはなんの理由でも構わない。
星船にも三人で住むことにした。
これを使うのは結局地球に行く時だけだもん。
あとはワープ装置で星と星を行き来出来る。
勿体無いので貸し出した方が良いのかな。
でも、オタク部屋とかキッチンとかあるからやっぱり貸せないや。
「という感じですが、船はこのままで良い?」
「俺達の家として使えば良いだろ」
「星が見つかる前提で決めていたことはたくさんありますが、いざ見つかるとやはり計画が杜撰でしたね」
「アルメイ、なにか提案はある?3人の船だから」
「そうですね。ウチの大統領も来たがるのは予測してますし、来た時に別邸扱いの船はあった方が良いでしょう」
「やっぱ来るよね、大統領」
あれだけ簡単にうちに来たもん。
サラッと「来たよ」と護衛とかゾロゾロ引きつけて滞在しそう。
地球には荷が重いからうちの船で過ごさせるか、大統領専用の巨大艦隊にドッキングでもさせておける。
大統領なだけあって、船も最高峰なんだよ。
地球が勝てないって絶望しないように出来たらステルスしてて欲しい。
わたしは地球に闇堕ちしてほしいわけじゃないから。
「大統領が来るなら俺らの親も来るじゃん。順当だ」
「もしかしたら、私のファンも……」
「「来る」」
私達は確信を揃えた。
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