第2話
ゼクシィには様々な場所がある。
星を円滑に回すために設置されているので、子供でも簡単に利用したり入れたりする。
とっても子供に優しい仕様となっているので、私でも利用可能。
知能は高い種族なんだけど私は特殊なせいか頭は良くもなく悪くもなく。
そんな落ちこぼれな子供にも周りは優しい星。
幼馴染達がリーシャに小説を書くことを勧めたのは今後も生活に困らないようにだろうと予想している。
涙が止まらない友情にこの星が益々好きになった。
周りは私が悲しくて嘆いていると思っている節があるが、ご飯が不味くてえづいているだけなのだ。
普通に生まれた故郷が好きだよ。
一応なにかの折に言ってはいるのだけど。
「こんちは〜」
「また来たか3人衆」
人の良い顔で書類から目を離す大人の男。
彼は星を管理する局の局長。
初めからトップと話せる局とか凄い。
地球ならアポイントメントすら取れず子供ならば門前払いされる。
どれだけ身近なのか分かろうもの。
「遂に地球が見つかったって聞いて」
「ん?ああ、そういえばそうだね」
「俺ら、地球に行こうと思ってるんだ」
「そうか。それなら色々ピックアップしておこう。だが、行くには不安な星だと資料で見たよ」
「あー、争い……ですよ、ね?」
基本的に争い事に対して眉をひそめるのはどの世界も同じ。
資料を見たのならその対応も納得なのだが、基本能力が高いので簡単にやられるようには出来ていない。
それに、全員が魔法みたいななにかが使える。
魔法というか、科学が煮詰められた末のなにかというか。
「子供が旅行をするのは止めたほうが良いのだが、君達がずっと行きたがっていたのも知っているから、止めても行くと皆分かっているよ」
目尻を柔らかく細めて私達を見る。
それを見ていると絶対にこの世界に美味しいを布教しようと再び決意。
私はこの人たちに美味しいを知ってもらいたい。
「向こうについたら星間ワープを設置するのを忘れないように」
「「「ハーイ」」」
ゼクシィの施設から出るとふわりと3人は浮かんでリーシャの住む家に行く。
この家に住むのは親2人と子供が1人。
3人で住んでいる。
小人みたいな種族なので家も家具も小さい。
いつも見るたびにシルバーファミリーみたいだと思う。
「あ、この家具ビクトリアシリーズだ」
「お前の親、お前のことを溺愛してるな」
「普通の家庭だと思う」
小説家として活動している私の一番のファンは幼馴染と親だ。
小説に出てきたビクトリアという言葉を知りたいと大手家具屋にデザインを求められ、苦心をしながらもなんとかして、出来上がった。
やはり絵は苦手だ。
資料もないのでビクトリアのビの字も表現出来てない。
そのシリーズは椅子、テーブル。
カップなどなど。
もうデザイン系は受けない。
トラウマになった。
デザインを修正してくれたジャニクには感謝している。
「これも、これも」
2人は私の小説を指で差してニコニコする。
そこにはノラエモン、ノラえもんシリーズがズラッと本棚に嵌っていた。
親はサクッと買って並べていた。
気恥ずかしかったが、親友達も同じ行動をしていて印象が強い。
リーシャは書いてよかったと思える思い出だ。
一人娘だとしても幼馴染達も共に行くという事を両親は快く許可してくれた。
2人はリーシャが地球に恋い焦がれていることを誰よりも知っていたので、地球とのやり取りもゼクシィの専門施設に頼んだほうが良いと連絡してくれる。
やり方は何度も復習していたが、大人に任せた方が良いこともあると知っていたので、3人等はゼクシィに問い合わせる両親を尻目に私の部屋に集まる。
集まっても甘い飲み物も美味っなお菓子もない。
「そろそろ昼ご飯の時間だな」
「今日は固いみたいです」
「うっっが」
思い出して絶望。
目から光が失われていく。
「固いだけでなんの味もしないコンクリート」
「コンクリートってなんだよ。あ、地球に行けば生で見れるのか!食えるってことか?食って良いんだよな」
「ダメだけど???え、ダメだけど??」
地球の物を食べてはいけないとキツく言い含めねば、車道を食べないように気をつけないと。
私に許可を取ってくれとナミダが出た。
酷いな。
アルメイは勝手に食べないが、ジャニクはなんでも食べる。
なんせまだ子供だから食べ盛りなのだ。
星に行ったら沢山美味しいものを沢山食べさせたい。
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