第三話 人形 2
第11話
和田バレエ団では、コッペリアの特別練習が始まった
本部に週に1回、ボーイズやK市の支部の子達ら、研究生Aクラス以外のBクラスやCクラスの子たちも集まる
最初の場面から振り入れに入る
コッペリアはスワニルダが人形の女の子(人形だとは知られていない)に鬱つを抜かす恋人にヤキモチを妬くシーンからスタートする
コンクールでもこのシーンの一部を踊るヴァリエーションが最近人気だが、この踊りはマイムが多すぎる
カリンはすごく上手に踊るが、彩子先生は首を傾げる
「カーリーンー!ここは恋心を表現する場面よ?ぜんっぜん伝わってこないの。なんていうの?幸せ感ってやつ?恋とか、したことない?」
「......ないです」
カリンは真顔で答えた
確かにカリンは今まで出たコンクールでは扇子を使った力強い踊りのキトリやサタネラなど、あまり感情を表現する踊りには取り組んでこなかったし、
たまに評価の部分において、表現力に△がついていたりしたこともあったりして、ウィークポイントではないかと薄々思っていた
気持ちはわかる、私も同じことを感じたことがあるから
マイムって理屈じゃないんだ
いくら踊りが上手くても、全幕物を初めてやるときには、苦戦してしまう
私もそうだった
カリンを指導する彩子先生の声が、昔の残像と重なった
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