第8話

車の中では営業トークが繰り広げられた




「おふたりは、ご結婚ですか」




「はい。まぁ、まだ婚約したばかりなんですけど」




「いいですねぇ。幸せそうで」





幸せそうで、という祥太の言葉に、胸が締め付けられた





そして、自分の中の、モヤモヤしたものがソワソワする





1件目の物件がすごく良かった





雅人がかなり気に入っていた





私自身も悪くないと思った





だけど、祥太とこれ以上関わるのは怖かった






店に戻る途中、雅人がコソッと聞いてきた





「どう?1件目かなり良かったよね?」





「う、うん。でも、他の不動産屋さんも、見てみたいかもしれない」





「あぁ、そうだね。それはたしかに。じゃあ、今日は保留にする?」




「うん」





悪いけどその日には答えを出さず、自分でも部屋を探すことにした。しかしながら他の不動産屋にも、1件目を超える物件はなかったので結局、祥太の会社で契約をすることにした






雅人が連絡してくれた





また、申し込みに来てくださいと言われたようだ





雅人一人で行かせるのも、なんだか悪いので、2人の次の休みに行くことになってしまった

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