第5話

暗くて雰囲気のあるレストランに入った




この地域では凄腕のシェフがいるレストラン




窓際に座り、最初のワインを乾杯して一口飲む





「いつもありがとう、真穂」





「ううん。私こそありがとう。こっちに帰ってきてからも、前向きでいられたのは、雅人のおかげだよ」





「あの、これ」





雅人は指輪ケースを差し出してきた





「雅人...」





「結婚、してくれないか」





真穂は戸惑った





「でも......」





「嫌?」





「ううん、嬉しいよ。でも、私でいいの?」





「俺は、真穂がいい。ずっと好きだった。初めて君の踊りを見たときからずっと」





もう、踊らないのに




私なんかでいいの?





「もう、踊れないけど」





「それでも。真穂がいいんだ」






真剣な雅人の瞳に、断れないと思った私は、指輪を受け取っていた





「よろしく、お願いします」





雅人は嬉しそうに笑った






しかし、何故だかこころに、これで良かったのかという思いが残る






なにかから、ずっと、逃げているんだ、わたしは

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