第2話
「冬の公演は、コッペリアです!」
生徒たちはきゃーと、声を出して喜ぶ
「主役のスワニルダは.......?」
いつも焦らして発表するのが私流
生徒たちのワクワクする顔を見ながら楽しむ
「カリンちゃんです」
「やっぱりな〜。夏のコンクール2位だもんね。そりゃそうだよ。じゃあ、私たちは友人の役ね」
ユカがため息混じりに言う
「ユカ、サユキ、アカリ、トモコと、K市の支部のAクラスの4人が、友人ね」
「フランツは?やっぱり、ショーマくん?」
「うん、アカリ、正解!ボーイズクラスの羽田ショーマくんに決まりました」
「いいなぁ、カリン。ショーマくん、超カッコイイじゃーん!」
「私もパ•ド•ドゥ一度でいいから踊ってみたい」
アカリとトモコが羨ましがる
しかし、主役をもらったというのに、カリンは何も動じなかった
冷静に受け止めていて、クラスメイトのひやかしすらスルーしている
私もその空気感を感じ取り、レッスンへと流れを持っていく
「はい、じゃあ、レッスンしましょう。バーについて。
まずはストレッチから」
穏やかな音を流し、レッスンを始めた
さすが最上級クラスなので、レッスンが始まればバシッと集中する
カリンは踊り始めると、とても柔らかい表情になる
身体つきもスラッとして、小顔、身長もバレリーナになるには十分だ
サユキとカリンは小さいころからずっと習っているから、特に身体にアンディオール(外向きの足)が身についている
見ていて羨ましくもなるくらいバレエの才に愛された子だった
真面目で、真剣にレッスンを受けてくれる
「カリンちゃん、また、肘が曲がりすぎてますよ」
注意に関しては真剣な眼差しで聞いてくれるから、私に対して無愛想でも気にしてはいなかった
バレエに対する熱意も伝わってくる
カリンはそんな子だった
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