第7話

伊織と玲蘭が校舎を出ると、さりな、楓、洋一が待っていた





「あ、来た来た。おふたりさん、昼飯食べて帰ろうぜ?」


「いいな。行こうか」


「なぁ、realizeのメンバーがいたんだけど」


「おう、全員この学校なんだってよ」




「全員!!」




さりなが大声でびっくりした




「おう、さっき、奈菜美と会ってさ」




さりなはすごく嫌な顔をした




「伊織ー!!!」




そのとき、さっきの高い声の女の子が走ってきた




「奈菜美!」




「Ailes de rêveのみなさんお揃いじゃない」




「そっちも」




奈菜美の後ろには4人の男の子がいた




「あ、玲蘭ちゃん、紹介するね。私のバンドのメンバー」




「ギターの寺崎優吾です。さっき会ったね」



「うん、同じクラスですね」




「ベースの...」




「本郷樹です」




小さくて、髪が長い男の子が軽くおじぎした




「ドラムの棚丘達広でーす」



「キーボードの杉田涼介です」




「キーボードもいるんだ!」




「あ、そうそう、さっき言ってたワンマンライブのチケット!是非見に来てね」




奈菜美は玲蘭と伊織に一枚ずつチケットを渡して、楓と、洋一にも渡し、最後にさりなに近づいた




「さりなちゃんも!」




奈菜美はさりなの目をじっと見た




「ど。どうもありがとう」




さりなはムスッとしながらチケットを受け取った




「でも、バンド仲間が増えて、なんか盛り上がっていけようだよね?優吾!」




「仲間ねぇ...まぁ、な」




奈菜美の問いかけに優吾は鼻で笑う





「じゃあ、みんな、またね!私たちこれからスタジオで練習なんだ!バイバーイ。」





帰っていく5人をAiles de rêveのみんなで見送った




残された4人は黙り込む




「あれ、みんな、どうしたの?」




伊織はチケットを見てため息をついた




「奈菜美のバンド、realize...めちゃくちゃ上手くてファンもいて、俺ら比べるのも恥ずかしいんだよなぁ」




「青い鳥のフォロワー数も桁違いなんだよね」





洋一も思わずため息





「みんな、何このネガティブなオーラは!頑張るって言ってたじゃん!バンド活動...」




「強力すぎるライバルがいると...なぁ?」




「あぁ、なんかな」





洋一の問いかけに伊織も頷く




「楓くん...は」




「ん?まぁ、俺らは俺らのペースでやろうぜ?」




「うんうん!そうだよね!」





玲蘭は唯一楓が前向きなことを言ってくれたので安心した

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