第5話

入学式。





玲蘭は新入生代表として、壇上に立ち、挨拶した





その様子をE組の席から、洋一と楓とさりなは見ていた。





「やっぱりトップは玲蘭だったか」


「玲蘭、あぁしてると、生徒会長のオーラが抜けきらないわね!」


 



さりなと楓が話していると、洋一が静かにしろ!と人差し指を立て注意した




楓の周囲の生徒では、玲蘭に注目するものもいて、なんだか、ソワソワした





自分も、最初に玲蘭に注目したのは、生徒会に立候補する演説で壇上に上がった彼女を見たときからだった





ライバルが増えてしまわないか、ソワソワした





「玲蘭ちゃん、確かにあぁしてると、綺麗だよな...」


「洋一、奈々ちゃんに言いつけるわよ?」



「そうじゃなくて、なんで楓の彼女になったんだろ、って不思議に思っただけー!」


「うるせーな、バカ洋一...」





楓は洋一のイジリをあまり冗談のように受け取れなかった。




入学式が終わり、生徒は教室へ誘導された




伊織と玲蘭も教室へ向かう






「いやーさすが、玲蘭はすごいな。首席ですか」



「たまたまじゃないかな」



「またまた、謙遜すんなよ」



「伊織ーーーーーー!」





元気な声が後ろから聞こえてきた





「奈菜美!え?なんでいるの?」




「やっと見つけたー!!慎也おじさんに春央学院大附ここって聞いてたから、私も受験したの!」



「マジか!」




「このこが玲蘭ちゃん?さっき、首席の挨拶してたよね?頭いいんだ!すごいね!」




「え、い、伊織...?どちら様?」




玲蘭はいきなりのハイテンションで話しかけてくる、目がパッチリとした女の子に戸惑った





「あ、あぁ、紹介するよ。尾崎奈菜美。父さんの妹のお子さん。おれらとは従兄弟なんだよ。」




「親戚なんだ」




「お正月の集まりはここに入るために勉強するからパスしたんだ。はじめまして、よろしくね。玲蘭ちゃん」




「奈菜美、特進?」




「まさかまさか!普通科がやっとだよぅ!あ、さっきギターの子と、ドラムの子見たよ?」


「うん、うち、全員ここにしたんだ」


「え!奇遇!うちもなんだよ」


「マジか」


「...うちも?」


「奈菜美もバンドやってるんだ」


「へー。すごい」


「あ、そうだ!来月ワンマンやるんだ。良かったら玲蘭ちゃん、伊織たちも招待するから見に来て?」



「ありがとう。是非」



「普通科ならうちのボーカルもいるから、仲良くしてやってよ」





そのとき一瞬、奈菜美の目に暗い影が落ちた




「さりなちゃんだっけ?同じクラスだったらよろしくねって伝えといて」




「おう!」




「うちのギター、特進だから、仲良くしてあげてね」




「寺崎くんだっけ?...仲良くできるかな?なんとなく俺、苦手だわ」




「うふふ、優吾もそう思ってるわよ!じゃあ、またね!」






奈菜美は嵐のように去っていった

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