第3話

駅では洋一と楓が既に来ていた




「洋一、楓!」




伊織が声をかけると、洋一は振り返った




「おぅ、伊織、玲蘭ちゃん。おはよう」



「れ、玲蘭...」




楓は玲蘭に近づく




「楓くん、おはよう」



「せ、制服、か、可愛い」




伊織はカバンで楓を殴った




「痛えじゃないかよ!」




「うるせぇ!おまえなんか、玲蘭の彼氏だなんて、認めてないんだからな!」




「おまえ!将来の義弟になる人間になんて態度なんだよ」




「やめろ!考えたくもない!」





洋一が玲蘭に近づいて耳打ちした





「伊織、すっかりシスコンが板に付いちまったな」




玲蘭は苦笑いした




「あれ、さりなは?まだ?」




「さりなは、武装に時間かけてんだろ、どうせ」




「武装?」




すると、4人の後ろから甲高い声がした




「みんなー!!」




「さりな!」




さりなは髪の毛をくるくる巻いて、メイクもバッチリで来た




「やっぱり...」




「さりな、おはよう」




「玲蘭、おはよう。セミロング、似合うね」




「ありがと、さりなもくるくるして可愛い」




「さぁ!今日から高校生!張り切っていくわよ!」




「張り切りすぎてんだよ、さりなは!」





洋一がツッコミを入れると、その場にいたメンバーは爆笑する。





「まったく...どうなることやら」




「今日から高校生。新しい生活が、始まるんだね。さりなが張り切っちゃうのも頷けるよ」




「だよね!玲蘭はわかってくれると思った!」




玲蘭とさりなは並んで歩き始めた




伊織たちはその後ろを続いて歩く




玲蘭は新しい生活にワクワクしていた。





新しい靴に、制服、カバン。





全てが新しい世界に連れてってくれるような気がして気分が高揚する。





「高校生になったし、俺もさりなみたいにバイトすっかなぁ」



「伊織がバイト?無理無理、すぐキレてクビになるって!特に接客業」




「んだと!楓。いいよな。楓と洋一んちは金持ちだから、バイトしなくても小遣いもらえるだろ」



「そんなことねーよ。俺はもう、貰えなくなったぜ。だから来週からバイトする」



「楓くん、バイトするの?」



「おう。玲蘭も一緒にする?」



「しません!」




伊織は二人のあいだを割って入った





「なんだよ、伊織。さっきから邪魔ばっかして」




「だからさっきから言ってるだろ?おまえには玲蘭はもったいないって!」




「はいはい、おまえら行くぜ」




洋一が二人の背中を押した




電車に乗って駅が近くなると、だんだん同じ制服の子が増えてくる




いよいよだという思いで、さらにドキドキしてくる





駅に着いて坂を登った先に学校がある

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