第2話
3人で一階に降りると、父はコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる
「おはよう、おめでとう、今日から高校生だな」
「ありがとうございます」
「玲蘭、伊織くん入学式、いけなくてごめんね。志穂の転校初日だから、一緒に行かなくちゃいけなくて」
「入学説明会来てくれたから、いいよぉ、別に」
「そうそう、高校生になってまで、親が来ねぇよ、普通はさ」
「朝ごはん、食べて?」
「お母さん、そろそろ行かないと」
「そうね。ごめんね、二人とも」
志穂と母は出かけて行った
「志穂、大丈夫かな」
「あれ?確かさ、洋一の妹、同じ学年じゃねーかな」
「猿林君の?良かった。仲良くしてもらえるかな?」
「あ、いや、う、うーん......志穂とは合わないかも、しんねぇな」
玲蘭は首を傾げた
「ま、志穂なら上手くやるだろ」
そのとき、玲蘭のスマホが光る
「あ、楓くん」
「楓?」
「もう駅に居るみたい。え?約束8時15分よ?」
「30分も前に来てなにやってんだよ、あのバカ」
「とにかく、急がなくちゃ」
「いいんだよ、8時15分で!約束通りで」
「そんなぁ」
「さりなや洋一は15分なんだぜ?楓のためになんで慌てなきゃいけないんだよ」
「それも、そうかもしれないけど」
メッセージはさらに届く
「なんでそんなに前に着いたか聞いた?」
「あ、うん。でも、特に理由はないみたい」
「見せて」
伊織は玲蘭のスマホを奪いとる
「ちょっと!伊織!」
「なんだこれ、玲蘭の制服姿見たくて居ても立っても居られなくなっただぁ?アホか!
おい、玲蘭、高校にいい奴いたらさっさと別れろよ。
俺は楓なんか嫌なんだよ。
おまえにはもっといいやついるよ!」
「そんなこと伊織が決めることじゃないよ」
すると、父が咳払いをしたので、二人は固まる
「二人とも、ご飯は静かに食べなさい」
「は、はい。ごめんなさい」
しばらく食べるが、伊織は小さい声で言った
「ほら、玲蘭のせいで怒られた」
「伊織が...」
父はさらに咳払いをする
二人は、黙って朝ごはんを完食した
そのまま、家を出て駅へ向かった
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