第8話 嵐を呼ぶ八葉矢
月曜日の放課後、結局木滝さんは来なかった。
きっとなにか事情があったのだろう、明日話を聞こう━━━━━そう、3日前に思っていた。
今は9月16日の木曜日、午後3時46分だ。そして、俺が今いる場所は━━━━━部屋にベッドだ。
本来なら今の時間は自転車を漕いでいるはずだ。なら、何故ここに俺がいるのか? 簡単だ。風邪を引いたからだ。
月曜日、木滝さんを1時間半ほど待った結果、外は快晴から大雨に激変、ずぶ濡れで帰ることになり結果、こうなった。
[ピピピ、ピピピ、ピピピ......]
脇の間に挟んでいた体温計を取り出し、その値を見てみると、37.8℃と表示されている。
だいぶ熱は下がったが、この調子だと明日の休むことになるだろう。
目が覚めてしまい、もう一度寝ることができなさそうな俺は風邪薬を飲みに行こうと立ち上がると━━━━━
[ピンポ〜ン♪]
━━━━━と、インターフォンが鳴った。
俺は陰キャだ。友達もいない━━━━━ある一人以外は......
「よっ、元気ねぇな?海斗くん?」
相変わらずウザイ挨拶だが、龍希だけでも来てくれるのはありがたい。食料の調達も龍希がやってくれている。
「昨日来てくれたから食料は大丈夫だけど、どうかしたか?」
「俺は食料調達員じゃねぇよ」
そう言いながら龍希は後ろ......外の方を見た。
(まだ誰かいるのか?龍希以外の人来るのは初めてだな.....)
そう呑気に思っていると━━━━━━
「真波くん......久しぶり」
................いや、ねぇ?なにどゆこと?
俺は龍希に木滝さんの文化祭の有志活動のサポートに入るとは言っていない、木滝さんもそう簡単にそのことを話さないだろう。
じゃあなんで木滝さんおるん?
「じゃあなんで木滝さんおるん?......そういう感じの顔ですね?海斗さん?」
さっきっからこいつの喋り方うぜぇ、そうは思うが気になるものは気になる。龍希の話を聞くことにする━━━━━
「秘密だよん」
━━━━━だと思ったわ。
「ま、そゆことだから。明日は学校で会おうぜ?」
そう言った龍希は俺の呆れた顔を見て、笑いながら帰って行った。
............いや帰んな!? 気まずいわ!!!
玄関に取り残された俺と木滝さんは、気まずい空気の中少し黙りこくっていた。
「......まぁ、あがって......」
口を開いたものの、気まずすぎて何を言えばいいのか分からなかった。
木滝さんは、頷いて俺について行く。
(龍希、今なら許す。戻ってこい!!!)
心の中でそう叫ぶも、さすがに無駄なのだった。
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