第32話

その日の夜も二人で映画を見た。


昨日の夜は、友情物を見たが今日は、恋愛物を見ることにした。




二人で、静かに映画を見ているときだった。



「ねぇ、琴葉?」


「なに?」


「琴葉って、初恋ってどんな人だった?」


「初恋?初恋かぁ」


「そうだなぁ、初恋は高校生の時かなぁ」


「結構最近なんだな」


「三年の先輩でね、かっこよくて優しくて、スポーツ万能で後輩にも優しい人だったの」


「…………」


「?どうかした?」


「その先輩なんて名前なの?」


柏樹葛馬かしわぎかずまっていうの」


「かし、、、、わぎ、かず、、、ま?」


「?そうだけど?どうかした?」


「ううん。なんでもない。琴葉はそろそろ寝る?」



テレビに目線を移すと、もうエンディングも終わる頃になっていた。


その右上には23:30と表示されていた。

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