第29話

そんな私を見て、心配になったのか、


突然、葛馬さんが私の顔を覗き込んできた。



「どうしたんだ?もしかして、親御さん怒ってる?」



不安そうに私を見つめる葛馬さんは、シベリアン・ハスキーに見えた。


この少しいかつい見た目とは裏腹な態度に思わず顔が緩んでしまった。



「あっ!いえ、母さんと父さんは、全く怒ってないのですが少し、余計なことを言われたので‥‥‥」



私が、そうやって、説明をすると


途端に顔が悲しそうなハスキーの顔から


大喜びしているハスキーの顔へと変わった。


本当に犬なのでは?と思う表情だった。

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