第33話

そう言いながら近づく。


「熱?熱なんかないが?」


「でも、なんか今日変じゃないですか?」



更に近づく。

私の背中の裏には毒のついたナイフがある。

これで刺せばすぐに死ぬ。


そう思いながら近づく。



「お前のほうがおかしいぞ」


「そんな事ありませんよ?」


「そうか?」


「はい」



私は静かに距離を詰めていく。


それから、鬼塚の背後にナイフが行くように腕を回す。



「今日は、なんか偉いですね。ちゃんと仕事をしていて」


「普通のことをしているだけだが?」


「そうですか」



そう言いながら勢いよく背後から突き刺そうとしたその時だった



「えっ,,,,,,,,,,」


「残念だったな」


私の腕は、鬼塚に掴まれ

ナイフも床に落ちた


その上背後から取り押さえられた。



「ちょっ、なんで分かったんですか?」


「舐めてもらっちゃ困るな」


「大体分からない方がすごいぞ。あんなあからさまな距離の詰め方をしておいて」


「なぜ、わからいなと思ったんだ?」


「完全見くびっていました」

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