第28話

その時の鬼塚の顔はとても悲しそうなものだった。

不思議でしかなかった。

なぜ、鬼塚が悲しい顔をする必要があるのだろうか?


なんだかこっちまで、悲しい気持ちになってしまった。



「鬼塚さん、なにか忘れ物でもしたんですか?」



私は、そう言って気持ちを紛らわそうとした。

したのに、鬼塚が言ってくる。



「その,,,忘れ物をしたんじゃないんだ。「じゃあ、何なんですか?」


「お前が風を引いたのって、俺の看病をしたせいだろう?違うか?」



何だ。そんなことか‥‥‥。

あれ?なんでこんなに胸が苦しいのだろう?

なんだろうか、この感覚は,,,,,,


私は、なん7日がわからない感情を抱えたまま

鬼塚に言い放った。



「さあ、知りませんよそんな事,,,,」


「‥‥‥‥‥、そうだよな。でも、できれば看病させてもらえないか?」



何故か、嬉しい。

でも、嬉しいはずなのにイライラが勝ってしまって、

今にも私の何かが壊れそうだった。



「もう!いいですから!帰ってください!」



自分でも驚くくらいの剣幕で鬼塚を怒鳴りつけた。


この時、私は、分かってしまった。


この感情の正体が。


私は、今、どうしよもないくらい鬼塚コイツに殺意を向けていることを。

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