第23話

よく、虎汰朗に羨ましがられていたっけなぁ


昔の思い出を懐かしくて思わず笑みが溢れた。

普段私は、愛想笑い意外しない。

けれど、組のみんなのことを思うと心の底から笑みが溢れる。



気づけばもう雑炊はできていて、お皿に盛り付ける。

お盆にお皿とは緑茶を乗せて鬼塚のところまで運ぶ。


すると、鬼塚が嬉しそうに起き上がろうとする。

が、やっぱりしんどいのか1人では起き上がれず

私が手伝う羽目になる。


私は、雑炊を渡した。

鬼塚は、美味しそうに食べている。


そうだ、聞きたいことがあるんだった。



「そういえばさ、あんた、キッチン使ってる?全く使われた形跡がないんだけどもしかして、いっつも外食で済ませたりしてないよね?」


「ああ、一回だけ使ったことがあるけど、初めて使ったときに事件を起こしちゃってから親から、キッチン使うのを禁じられて,,,,,,だから、一回しか使ってない」


「そう‥‥‥‥‥‥‥‥」



ぶっちゃけ言って、どんな事件を起こしたのかって思ったけど

そんなことより、一回起こした事件がきっかけで

あんなに高級なキッチンを全く使わないっていうほうが

衝撃的だった。



「つまりは、その事件がきっかけでその後はずっと

外食だったってこと?」


「そう,,,だな」



ああ、体に悪い生活だ。

でも、不思議なんだよなぁ

こんなガタイがいいし、筋肉だってけっこうある。

そんな食生活でそんなきれいでかっこいい体型は得られないと思う。

本当に不思議だ。



「‥‥‥‥‥‥お前って、料理上手いんだな。

この星型の人参だって、お目が切ったんだろ?」


「えっ、ああ。うん、そうだけど?」


「なんか疲れ吹っ飛ぶわ」


「はいはい。ありがとうございますね」



組のみんなも褒めてくれるときあった。

けれど、みんなは、家族みたいなものだったから

なんか別の人に褒められると無性に嬉しい。


時間を見ると9:00近くになっていた。

だいぶ長居してしまったようだ。


私は、立ち上がる。



「じゃあ、お邪魔しました。もう私は帰りますね」


「えっ、もう帰るの?」


「はい。長居してしまったので、もう帰ろと‥‥‥」


私はそう言って部屋を出ていこうとした。

すると、鬼塚が思いっきり私の腕を引っ張った。

私は、鬼塚のベッドの中に引きずり込まれたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る