第20話

「まさか!私は、きちんとあなたのことを調べてから行動に出ているわ。

  そんなあなたこそ、自分が”殺し屋”だなんて言ってよかったのかしら?」


私が言うと、標的ターゲットは、黙る。

何も言えないのでしょうねぇ。

無理もない。



「そうだわ、殺す前に聞きたいのだけれど、

あなたってあの”狂狼きょうろう”なの?」


「そうだ。それがどうしたっていうんだ?」


「そうねぇ、理由としては私が”狂犬”だからかしら?元は、あなたから来ているから、感謝をしたくて,,,,,」



そんなのは、まったくもって嘘だ。

感謝なんてするわけがない。

ただ、殺す前に知りたかったことを聞いただけだ。

あんたなんかが居なくても”狂犬”は居たんだから。



「へぇ、感謝ねぇ,,,,,,。

そうだった、蒼葉,,,,じゃないね。真の名は?」


「私にそんな物を教える義理なんて無い」


「まあまあ、そんな事言わずに、教えて?」



鬼塚龍介の圧は、半端のないものだった。



「灑華よ。それより早く殺させてくれない?」


「一旦待ってよ。俺さ、灑華ちゃんと取引をしたいんだよね」



取引,,,,,,?コイツ、殺されるってことわかってるのかしら?

聞いてみるだけ聞いてみるか。最悪、変なものだったらすぐに殺せばいいし。



「その取引って何?」


「灑華ちゃん。君騙されてるよ?」



はあ?何をいうかと思えば。

騙されているダァ?

全く意味がわからない。



「何が言いたいの?」


「君は、依頼人にはめられてるってこと。だから、俺と手を合わせないか?悪いことはしない。ただ、俺に合わせてくれればいい」


「合わせるってどういうこと?」



「そのうち分かるさ。それより今のことは、絶対に依頼人に言うんじゃないぞわかったな?」


そのうち分かるとは?



私は、これから思いもよらないことに直面することとなった。

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