第13話 次の指令
一樹からメールが届いた。
(この前はありがとう。俺はもちろんだけど、綾乃にもいい体験になったよ。それで早速だけど、もう一個お願いがある。今度は綾乃と二人きりでデートに行ってきて欲しい。そしてその夜はうちでまた三人でメシでも食おう)
亮介は安堵して、長く息を吐いた。
この前はちょっとやり過ぎたと思っていたし、今日まで連絡も――頻繁というわけではないが一樹は割とやり取りが多い方の友人だ――全く無かったからだ。そんな心配は雲散霧消した。
(こっちこそありがとう。なんか今頃になって恥ずかしくなってくるね、これ。デートの件、了解。でも、どんなデートすればいいんだ?)
数分もしないうちに返信をもらった一樹は、メールを打ちながら胸の高鳴りを抑えきれずにいた。力が入らないのは気のせいではない。武者震いと言ってもいいのかもしれない。
「綾乃さんとデートか――」
亮介は、あの夜は夢だったのかもしれないと時々思っていた。それぐらい現実離れした出来事。次があるなんてことも予想していなかった。なぜ今度は二人のデートということになるのかはわからないが、察するに、夫婦の関係が悪化したということはなさそうだ。綾乃さんを楽しませたいということなのなら、恋人同士のようなドライブにでも連れて行ってみようか。
「……順番が逆な気がするけどね」
亮介はそう独りごちてから、思わずフッと吹き出した。
一樹からの返信には、写真を撮影して送って欲しい、夜7時頃までに部屋に二人で帰ってきて欲しいということだけ書いてあった。
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