第27話それぞれの明日へⅡ

ひとりの男性がもう一人の男性に向かって「少し一人にしてくれないか?」と言うともう一人の男性が「分かりました」と言って体育館を後にした。

「もう終わりなのか…」と一人になった男性が言葉を溢した。「私の選択はこれで良かったのだろうか?」と一人誰も居ない体育館の中で言う男性が言葉を続けた。「こんな事で償いには為らないと思うが少しでも世の為、娘の為に成っただろうか?」と淡々と問いているが誰も反応することは出来なかった。すると月歌が「何言ってんのお父さん。 お父さんはしっかり私の為にしてるんだよ。だからもう良いんだよ。もう私のことは良いから、だから明日を願って。」と月歌が叫ぶとそれが月歌のお父さんに聞こえたのか「そうか、ありがとう月歌。こんな私を許してくれてありがとう。」とどれも居ない体育館に親子の最後の会話が響いた。


「ふう、そろそろ体育館に戻るか」と俺は歩き始めた。体育館に着いた。月歌との思い出が蘇る。楽しかったあの日々が消えないでと願ったあの日々が俺の頭に過る。月歌のお父さんが少し涙ぐんでいた。俺が「どうしましたか?」と俺が言うと「いや何でもない。少し月歌に逢えたそんな気がしたんだ。どうだい恵一君もここで少し一人になるかい?もうこの場所には来ないのだから。私は車に居るよ気が済んだら車においで。」と月歌のお父さんが言ったので俺は「そうですね。私も少しここでゆっくりします。」と言うと月歌のお父さんは頷いて体育館を出たのだった。

「月歌は今何処に居るのかな。」と恵一君が言った。「月歌ともう一度逢えたらな。」とそんな未練の声が辺りに響いた。私が「恵一君は何に悩んでいるの?」と聞こえないであろうその恵一君に聞くと恵一君は呟いた。「何に悩んでいるのかな。自分でもよく分からない。でも月歌の居なくなった日々が何だか退屈で穴が空いたそんな感じかな」と言った。月歌のお父さんの時みたいにどうやら神のイタズラかその声は届いたようだった。

「ねえ、恵一君。私ねずっと恵一君のことが好きだったの。でも私ね臆病だからこの気持ちを伝えたらこの関係が終るそんな風に思っちゃって踏み出せなかったの。」と月歌が言うと「そうだったのか。俺も月歌にこの思いを伝えたら月歌が離れちゃうそんな気がしてた。ごめん月歌今更そんなこと言っても遅いと思うけどこの思いを伝えても良いかな?」と恵一君が言うので「うん。」と言うと恵一君は「月歌、遅くなってしまってすまない。月歌ずっと前から好きでした。」と恵一君が言うと私は「私も恵一君のことずっと前から好きでした。でも恵一君にはまだ進まなければならない明日が待っているでしょうだから私の分まで生きてね。」と私が言うと恵一君は「もうお別れなの?まだ月歌と一緒に居たいだからもう少し一緒に居てよ。」と恵一君が言うので私は「私はもうこの世界に居ないの。この世界に居たらまだ未練が悔いが残っちゃう。私ね次の生に征く為にここに来たのだから最後は笑顔で見送って」と私が恵一君に言うと恵一君は少し泣きながら「そうか、なら最後に明日に征く月歌にこの言葉を贈って俺と月歌のお父さんはもう行く準備中が出来たからもう出るよ」と恵一君は言うので私はその言葉を聞いた「I will never forglet you. 」と言って恵一君は少し泣きながらそれでも笑顔で私達が最後に過ごした体育館から出るのだった。


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