第14話未練だけがそこに居るⅣ
両親が私に置き手紙ですか?」と失人が言うと奏は「そうよ、書いてる時期はもちろん違うけど読む?」と奏が聞くと「はい、読みます」と失人は答えた。
「今名無しが取りに行ってるから少し待ってて」と言うと「お待たせ、これ君の両親の手紙だ。こっちが君のお母さんで、右が君のお父さんだよ。好きな方から読みな」と失人に渡した。
「"しんと"へ お父さんや"しんと"より先にあの世に逝ってしまってごめんね。本当はもっと"しんと"の成長するところ見たかったよ。 こっちにきてからあまり時間が残されて居なくてお父さんや"しんと"を見守る時間がなくて頑張ってる姿が見れなくてごめんね。 最後に貴方を産めてそして貴方と過ごした少ないくて儚い時間は私の一番の宝物よ。私と出逢ってくれてありがとう。 母より。」と書かれてあった。 すでに失人の顔には涙が零れていた。「失人、お父さんの手紙は明日読むか?」と聞いたら「いや父の手紙も今日ここで読みます。」とこたえてくれた。
「"しんと"へ お母さんが亡くなってから私と二人で家事を交代交代で辛くても愚痴一つも言わないで一緒に生活してくれてありがとう。 今思うと愚痴の一つや二つ聞けない親なんて親失格だよな、本当にすまなかった。今更親面は出来ないが"しんと"お前と酒を飲むのが夢だった。あの日私が流された時お前と喧嘩して別れたのが心残りだった。 些細なことで喧嘩してしまったと未熟な私を許して欲しい。 最後に"しんと"離れていても例え生きる世界が違っても私達親子は心が繋がっている。お前と過ごした日々とても楽しかった。長生きしろよ。 父より。」と書かれていた。「失人大丈夫か?」と聞くと「はい。なんとか大丈夫です。」と失人は力強く言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます