第3話 始まりの仕事Ⅱ

目を開けるとそこには知らない土地があった「ここは何処だ?」奏の見ると「私もここは知らないわよ」と言った。そんなやり取りをしていると「ここは、京都です。」その魂は光だし、人のような姿になり、やがて人の姿となった。


「ある神社で妻に出逢いました。アニメや漫画のような出会いでした。ある日雨が降ってきたんです。雨宿りしようと急いで神社に駆け込みました。その時に後の妻となる人とぶつかり喧嘩したのがきっかけになり、雨が降ってはその神社で会い 話しをしてみるとどんどん気が合うようになりお互い好きになっていました。でも戦争が始まり私達を引き離しました。でも妻はまだこの世で生きている。だから逢いたいのです。」

「なるほどねぇ、今までそうゆう人と出逢ってきたけど実現した人って少ないけど、手がかりとかってあるの?」と奏が難しそうな顔をして言った。「手がかりはありません。」「それは困ったはね」と奏が言った。「なら二人の思い出の地に行くのはどうだ?」と提案すると「それ良いわね、あんたそれで良い?」と奏が聞くと「はい、では案内しますね。」と言った。


「ここが妻と出会った場所です。」と彼は指を指した。「ここがその神社? なんか小さいわね。」と奏は歩きながら言った。「はい、京都といえど全部が全部有名で大きくはありませんよ。」と彼は微笑みながらそう言った。

「おい人が居るぞ。」と言った瞬間「おーいばあちゃん。またこんな神社に居るのかー?」と子供が走って神社までやって来た。「結人走ったら危ないよー」と今度はおばあちゃんらしき声がした。「百合子」と彼は叫んだ。「あれが言っていた奥さん?」と奏は彼に聞いた。「ええ、あれが妻です。妻には私が戻らなかったら新しい自分を大切にしてくれる人と人生を歩みなさいと言っていたので。」と彼は言った。「おばあちゃん何してるの? 早く来ないと飯なくなっちゃうよー。」と孫らしき子がおばあちゃんに駆け寄り一緒に神社を後にした。


彼は立ち尽くしていた。「あの人たを追いかけるぞ」彼と奏に言い後を追った。家に着いたみたいだ「ねぇおばあちゃんなんであの神社に毎日居るの?」と孫が聞いた。


「それはねぇ、私がこの世で最も愛した人とね出会った所なの。あの人はねぇ不器用でも優しくてね、自分がもう二度と帰ってこれないとね分かっていながら最後まで私の傍で寄り添い元気付けてくれたの。あの神社に行けばねあの人に会えるようなね気がしたんだよ。」と孫に言った。「良い人じゃない、こんな人滅多に居ないよ。」と奏が言ったら「ええ、妻は私の宝物ですよ。例え離れていても、違う人達と新しい朝を向かえても妻は妻のままです。」と彼は始めて涙を溢した。


「これ以上ここに居たら悔いが残るね、早く別れを告げな」と奏は言った。「まってくれ、会ったばっかじゃないか。別れなんて速すぎるんじゃないか?」と言ったら彼は「良いんですよ。ここに居たら未練が残る、そして妻に申し訳ない。いやもう妻でわないか、私は死者だ私の我が儘は終わりにせねば。」と彼は涙を拭きながら彼女に「百合子私と出逢ってくれてありがとう。こんな私を愛してくれてありがとう」彼の体は小さな光を放ち、だんだん消えていく。


彼の言葉が届いたのかそれとも神の気まぐれか「さんお帰り。そしてありがとう元気でね」と優し声が周囲を包んだ 「おばあちゃん誰に言ってるの? そこには誰も居ないよ」と孫が言った。「そうね、結人さあご飯を食べましょうか」と言い「うん!」と孫が頷いた


彼が消えた後そこには変わりのない一人の孫とおばあちゃんの暮らしがあった。でも僅かにおばあちゃんの瞳には涙か溢れていた。


「さあ帰るわよ。」と奏は言った。「ああ、彼の最後は良いものだったのかな?」と奏に聞くと「さあ、でも彼の最後の笑顔は一番の笑顔だったわ。」と奏も少し涙ぐんでいた。


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