第42話 クリスマス準備にイチャイチャする恋人達
次の日
本当に間違った気がする……と思いつつ、仕事を終えてスマホを弄る。
スマホには、トールの母親から数日お世話になると連絡が入っていた。
(数日なら別にいいけど)
観光とか連れて行ったほうがいいのかなと思いながら、家に戻る。
今は、トールの父親に会えるように頼んで、クリスマスの予定を立てることに集中しよう!
母親が来たからうっかり忘れてたけど、クリスマスも大事だ。
メッセージアプリに、部屋にクリスマスの飾りつけしていい?と送る。
トールからすぐにOKの連絡と、ナツからはじゃあクリスマスコスプレグッズ買うと連絡が来た。
クリスマスコスプレは違うと思う。しかもどうせあいつが買うのはエロい。
コスプレは要らないよと返信した。
とはいえ、嬉しくなってきたので、賃貸でも飾れそうな飾りを買う。
ツリーは邪魔だから難しいから、壁にくっつける文字の風船みたいなのを買った。
家に帰ると、ナツが着替えていた。
ナツは帰るとわりとすぐシャワーを浴びるというクセがある。
「お帰りー。まだご飯作ってない~」
「いいよ。適当に鍋にしよ。何種類か素があるし」
鍋の準備をしながら、ふとテーブルを見る。
テーブルの上にボア地で作られたもこもこトナカイセットというコスプレグッズが置いてあった。
写真を見ると、服の部分がなかった。モコモコした茶色いビキニだった。カチューシャ以外トナカイ要素がない。
「あ、ちょうど店の前に通りがかってたから買ってきた」
「こんなもん着るわけないだろ!」
手に持ったコスプレグッズを遠くに投げる。
「いいじゃんこのくらい~」
ガックリしながらコスプレグッズを拾いに行く。
「この発情猫! 常に発情期!!!!」
「猫はユーキだろ。普通に」
「どういうこと?」
「ああ、ユーキはそういうのわかんないか」
ニヤニヤしながら言われたので、馬鹿にされている気がする。
なんだよと思いながら、鍋の準備をした。
「ユーキはバルーン買って来たんだ。膨らましとく?」
「あ、お願い」
鍋ができていく間に、バルーンも膨らんでいき、ぷっくりとした金色のmerryChristmasの文字がはっきりしてきた。
「ただいま~」
トールが帰ってきた。
「お帰りー今日は鍋! みんな時間がなかったからね」
「食事が用意されてるってことがありがたいです」
そう言いながら、トールはテーブルの上のコスプレセットを見る。
「これユーキ君は着ないでしょ」
「でも見たくない?」
「まぁ……」
トールは顔を赤らめると、コスプレセットをテーブルの上に置いた。
ここには味方がいない!!!!
「あ、トールのお父さんと話したいんだけど、会える?」
「え、別にいいですけど。顔合わせしてないですもんね」
顔合わせじゃなくて、浮気をやめさせたいんだけど。
まぁ、そのくらい言っても構わないだろ。
「いや、お父さんが浮気辞めないとお母さんが帰らないみたいだからさ」
「浮気? それが原因なんですか。わかりました。聞いてみます」
意外、という顔をしてから、少しだけトールはしょんぼりした顔をした。
「どうでもいいことでユーキ君をまきこんじゃったんですね」
「いや、巻き込まれに行ったっていうか……」
あー、詳しく話せないところがもどかしい。
まぁいいや。話を変えて、クリスマスの話でもしよう。
「クリスマスってさ、クリスマスイブもクリスマスも二人とでいいんだよね」
「他になんかある?」
「ユリちゃんとかシャッチョ呼んでパーティーもいいかなって思って」
「一週間前でいいんじゃないですか? そんなの」
一週間前って予定空いてるのかな。いや、クリスマスも空いてないかもしれないけど。
「三宅さんを呼ぶのはヤバくない? 全員ユーキとか上田とか逆に呼んでるし」
「確かに」
うっかりその問題を忘れていた。
「それに三宅さんにバレたら、ユーキ君が襲われる可能性がありますよ」
「ユリちゃんはそういう関係じゃないんだって」
慌ててユリちゃんをかばう私に、二人は冷めた目をむける。
「人間を信用しすぎだよ。ユーキは」
「そこもいいところなんですけどね」
鍋を食べながら二人は呆れていた。
凄いバカみたいな奴になってるじゃん。
おかしい。本当のことをいっているだけなのに。
食事が終わり、食器を食洗機にほおりこんでクリスマスのバルーンを壁に貼る。
「斜めになってない? 見てくんない?」
「どれどれ」
そう言いながらナツは背後から胸を揉んだ。
「ちょっと!!! 家庭内チカン! 触る許可をとれ!」
動けないので足で蹴る。
「ごめんて。ちょっと左が高いかな」
そういうと、ナツは私の左手を持って、少しだけ下げた。
「なんか今叫び声聞こえたけど、大丈夫です?」
風呂から出たトールが、髪を拭きながらこちらに来た。
「ナツが勝手に胸を揉むんだよ」
「いいなぁ……」
文句を言うこちらに反して、トールは無意識につぶやく。
それから、アッ、という顔をした。
まったくどいつもこいつも。こっちはバルーンを持ち上げてる腕が限界がきているのに。
「触っていいから、腕が限界なので、コレはやく貼って」
「えっ、いいんです?」
「あ、じゃあ俺も」
「ナツはヤダ。許可なく触るから減点」
「なんでだよぉ」
慌てるナツを放置して、トールはさっさとバルーンを壁に貼っていく。
痴漢よりまともなほうを優先しないと治安は保たれないので、これでいいのだ。
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