第19話:おしまいな兆し?

さて、ばばあになるのが嫌だってセックスをさせないワイン。

やりたくても、やらせてもらえなくて日々悶々してる隼人君。


処女をかたくなに守りたいニンフと発情期真っ盛りの人間の男。

そんなだから、ふたりの仲は険悪なムードに。


隼人君は自分で思ってもいない暴言をワインに吐くようになった。

さすがにカチンと来ても女性に手を出すことは男として最低な行為だって

分かってたから、DV男にはならなかった。


「最近、隼人、冷たくない?」


「んなことないよ・・・それってワインの勝手な思い込みだろ?」

「そう思うのは、どこかに後ろめたい気持ちがあるからだ」


「後ろめたい、ってなによ」


「俺は普通だよ・・・おまえがおかしんだ」


「なんでよ・・・わたしのせい?」

「私に不満があるの?」


「それを俺に聞く?」

「毎日一緒にいて俺の気持ち分かんないか?」


「だって・・・」


「ばばあになりたくないんだろ・・・もうさ、これだって前に言ったよな

・・・同じこと繰り返してるだけだろ?俺たち 」


セバスチャンは関わらないほうが身のためと、さっさとどこかへ出かけてしまった。

パーシモンは人間はバカな生き物だって思いながら知らん顔で、おおあくびをして寝てしまった。


「私を嫌いになった?」


「・・・・」


「ね、答えて?」

「嫌いになったの・・・隼人〜」


「セックスさせないってことがそんなに、いけないことなの?」


「そうだよ・・・」

「俺は好きな女も抱けないし、他の女と遊ぼうとしたら黒焦げにされそうに

なるし・・・そんなことも許されないんだぞ・・・

その気持ち、おまえには分かんないんだろ? 」


「他の女と遊ばれちゃうと困る・・・」


「そうだろうさ・・・でもさ俺はカゴの中の鳥じゃないんだからな・・・」

「自由なんだよ・・・一人の女に束縛されるなんてごめんだよ」


「束縛なんかしてないから・・・」


「俺たち・・・も、おしまいかもな・・・」


「え?・・・おしまい?・・・なにそれ、おしまいって・・・」


「だから、これ以上一緒にいても、いい関係でなんかいられないだろ・・・ 」


「別れるって言うの?・・・隼人・・・ 」


「・・・・」


「黙ってないでなんとか言ってよ」

「シカトしないで・・・悲しくなっちゃうじゃない?」


そう言ってワインは泣き出した。


「え?うそだろ・・・え?泣くのか?・・・」

「泣くなよ・・・もうそれって卑怯だよ・・・泣かれちゃうと俺、困るよ」


「だって・・・もう私のいる場所なんてないんだもん」


「そんなこと言ってないって・・・悪かったよ・・・ごめん、ちょっと言い過ぎた」

「おしまいなんて言って悪かった、そういうつもりじゃなくて・・・」

「ごめん、まじでごめん・・・本当にごめん」


「私、出てく」


「え?まじで・・・うそ・・・・」


「さよなら、隼人」


そう言って、涙を拭うとワインはおもむろに立ち上がった。


「だからさ・・・なに出てこうとしてんの」

「出てけなんて言ってないし・・・誤っただろ・・・」


「もう遅いよ・・・」


「あのさ、もうワインを悲しませるようなこと二度と言わないからさ」


「そんなこと言って、今はそんなこと言っても、また機嫌悪くなるに決まってるよ」


「頼むからさ・・・出てくなんて言うなよ・・・俺をひとりにしないでくれよ〜」

「ワインがいなくなったら俺、死んじゃうよ」


「おおげさ・・・ 」


「あのさ・・・もうエッチさせてなんて言わないからさ・・・」


「そんなの信用できません!!」


なんて情けない隼人君・・・まあセックスだけがすべてじゃないって・・・

もっと大事なものってあるだろ?。

だけど隼人君の気持ちも分かるっちゃ分かるけど・・・。

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