第18話:隼人君とワインと吉岡君とロゼは悠生君ちを訪ねる。
ってことであっと言う間に土曜日。
隼人君はワインを連れて吉岡君から聞いた健斗のアパートに向かった。
ちょうどアパートがある路地に入ろうとした時、ばったり吉岡君とロゼに
会った。
「お姉ちゃん・・・」
「おはよ、ワイン・・・おはようワインの彼氏・・・」
「あ、おはようございます、ワインの姉ちゃん」
「俺、井ノ原 隼人です 」
「私、ロゼよろしくね」
「ワインが惚れるだけあってイケメンさんだね」
「あ〜いや口が上手いんだから・・・」
吉岡君は、どうでもいいって言いたそうに上を向いた。
ちょっとだけ隼人君に嫉妬してるんだ。
「すぐそこだから健斗んち・・・」
吉岡君は、この先に見えるアパートを指差した。
四人が尋ねると健斗いて出迎えてくれた。
その後ろにパンがいた。
またその後ろにベンジャミンがいた。
「よく来たな・・・めちゃ狭いけど上がれよ」
ワインがベンジャミンを見つけて手を振った。
「ベンジャミン・・・久しぶり〜」
「お久しぶりれふね・・・ワインさん」
「ベンジャミンもこっちに居座ってるんだね」
「そんなところれふ・・・」
ベンジャミンは頭をボリボリ掻いた。
大学のダチ三人に偶然にもニンフの彼女がいるなんて世間はせまい・・・
なんの因果で、こんなに近くであっちの精霊たちが揃っているのか不思議だ。
それも思えばゴミ箱からベンジャミンが出てきたことに端を発している。
そうじゃなかったらパンも来てなかったかもしれない。
ゴミ箱があっちとこっちの次元トンネルになることもなくロゼもワインも来る
ことはなかった。
三人の男は今でも彼女なしで寂しく過ごしていたかもしれないのだ。
全部、ひとつの運命で繋がっていることだった。
パンはロゼのことは彼女がこっちへ来て知ったがワインはパンを知らなかった。
パンとは別の場所で育ったからだ。
でもワインはベンジャミンは知っていた。
ベンジャミンもワインのことを知っていた。
健斗なんて一度向こうの世界に行っているし、異世界のたいがいのことは
ベンジャミンから聞いて知っていた。
ワインは同じニンフのパンに興味を持った。
ってことでなんやかや言って賑やかに人間三人とニンフ三人、 ベンジャミンと
の交流が始まった。
セバスチャンそれに妖精のパーシモンはアパートに残ったからこの状況は
知らないままだった。
まあ郷里の結びつきっていうのか、そいういう絆はけっこう強いのだ。
とくに人間界は自分の世界じゃない分、連れがいるのは心強かった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます