第17話:同級生の男の彼女が全員ニンフってか。

「イソップ寓話に「北風と太陽」って話があるんだよ」

「北風と太陽がさ・・・、どちらが偉いか口論して旅人に着物を脱がせたほうが

偉いってことになって・・まず北風が旅人に風邪を吹き付けたんだけど、

強く吹けば吹くほど、旅人は着物をしっかり押さえ、自分をガードしたんだ」


「北風はあきらめて、次に太陽が暖かく照らすと、旅人は次々に服を脱いで

しまったっていうそんな話」


「だからさ、無理やりは帰って逆効果なんだよ」

「優しくしたほうがより効果的なんだ・・・」


「でもな、やらせてくれれないってなるとつい優しくなれないんだよな」

「ああ、そうかとことん優しくしてたら、やらせてくれるかもな・・・」


「どっちにしてもレベルの低い話だね」


パーシモンはあくびをしながら、そう言った。


「私もそう思いますね」


セバスチャンもパーシモンに同意した。


「あのな・・・俺にとっちゃ深刻な話なんだよ」

「おまえらには分からないんだよ人間の気持ちなんか・・・」


結局なんの結論も得られないまま、この場の会話はそれで終わった。


次の日、隼人君が大学に行くと、すぐに吉岡君が近寄ってきた。


「おお、吉岡」


「隼人・・・おまえんちに俺の彼女の妹がいるんだって?」

「妹?・・・なにそれ・・」


「俺の彼女、ロゼって言ってニンフなんだよ」


「うそお・・・おまえんちにもニンフがいるのか?」

「他にもいるぜ、ニンフ」


「健斗んちにはパンってニンフがいるんだぜ・・・」


「え〜そうなんだ・・・で、おまえんちのニンフが俺んちのニンフの姉ちゃん?」


「そうだよ、この間、お前えんちのニンフが俺んちのロゼに会いに来たってよ・・・ロゼが言ってたわ・・・」


「そうなんだ・・・世間は狭いっつうか、どこで繋がってるか分かんないもんだな」


「せっかくだからさ、一度みんなで集まらないか?」


吉岡君は、ひらめいたみたいに言った。


「おお、いいねそれ・・・」

「ワインも喜ぶよ・・・あ、俺んちのニンフ、ワインって言うんだ」


「そうかそうか・・・こんなことってあるんだな」

「そうだ・・・俺たちで健斗のアパートに乗り込むか」

「今度の土曜か、日曜おまえ空いてる?」


「大丈夫だけど・・・たぶんワインも大丈夫と思うけど」


「じゃ〜とりあえず俺、健斗に連絡しとくから・・・」


「分かった、じゃ〜そういうことで・・・」


どこかに集まってなにかするってのはすぐに決まってしまう野郎ども。


広い日本の中で、こんなに近くに同じ大学に行ってる男どもにそれぞれニンフ

の彼女がいるって偶然にしては出来すぎてるだろ。


つづく。


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