第16話:当てにならないセバスチャンとパーシモン。
昼寝するって言ってベッドで寝てしまったワインを見て隼人君は幼稚園児の
セバスチャンに言った。
「あんたんちのお嬢さんは、かたくなでね、ばああになりたくないから
セックスは嫌だってよ・・・」
「おやま・・・珍しい・・・」
「普通、ニンフってそんなこと考えない精霊ですからして」
「神様はニンフは性の対象として作られたんですから、セックスそのものと
言っていいんです」
「それがセックスを拒否してるとは・・・不思議なこともあるもんだ」
「誰か、ワインを説得する方法を教えてほしいわ」
「私でよければご相談に乗りましょうか?」
「セバスチャン・・・さん・・・なにかいいアイデアある?」
「セバスチャン、と呼び捨てでけっこう・・・」
「さて、ワイン様とセックスする方法ですか?」
「こればっかりはですね〜・・・本人がその気にならないと無理でしょう」
「それじゃもう答え出てんじゃん」
「相談する意味がないって・・・」
「そもそもワインは恋愛の本質が分かってないんだよ」
「キスしたりハグしたりしてたら、それでいいと思ってるんだ・・・」
「あなたが欲しいの・・・とか私を抱いて、とかそういう気持ちに
ならないかな・・・」
「ワイン様って性に対する思考は人間の世界でいうところの小学生くらい
ですからね」
「まだ、夢みたいなことばかり考ているんですよ」
「小学生?・・・あんないい体してて?」
「ああ・・・そういう意味じゃなくて精神的にって意味です」
「歳はちゃんと成人してるんですけどね、ワイン様は」
「なんだ、そういうことか・・・」
隼人は、幼稚園児と話してるような錯覚を覚えた。
「なに話してるの?」
そこへパーシモンがやってきた。
「簡単に言うとワインが俺とセックスしてくれないって話・・・」
「そんなの無理やりやっちゃえばいいんだよ・・・」
「おまえな、よく言うなあ・・・まがりなりにもワインはおまえの飼い主だろ?」
「違うよ・・・私はいつだって自由なんだから・・・」
「人の干渉は受けないの・・・」
「ただワインには私がベルンガに襲われそうになった時、助けてくれた
恩があるからね・・・それで一緒に暮らすようになっただけだよ」
「なに、そのベルンガって・・・」
「妖精を餌にしてる最悪の悪霊だよ」
「ふ〜ん・・・悪霊なんているんだ・・・・」
「それよかさ・・・ワインを無理やりやろうとしたら絶対、黒焦げにされるに
決まってるよ」
「そんなもの、火吹けないようサルグツワ噛ませてやっちゃえばいいんだよ」
「パーシモン・・・まがりなりにも命の恩人にサルグツワってよくそんなこと
言えるな」
「あのさ、北風と太陽って知ってる、君たち」
隼人君は偉そうに言った。
つづく。
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