第13話:ワインに浮気現場を目撃された隼人君。
「隼人なにしてんの?」
「わ・・・ワイン・・・」
「おまえこそ、こんなところでなにしてる?」
「隼人の後をつけてきたの・・・」
隼人君の連れの女はいきなり現れたワイン目を丸くした。
「なにこの子・・・あんた・・・私をナンパしといて彼女いるんじゃない・・・」
「バカにしてんの、この浮気もの・・・」
女はそう言ってさっさと行ってしまった。
「さっきの子・・・ナンパしてたよね」
「全部見てたんだから・・・」
そう言うとワインは口から火を噴いた。
「お〜っと・・・本当に火、吹けるんだ・・・ヤバいから・・・それはヤバいよ」
「黒コゲになりたい?」
「悪かった・・・もう二度としません・・・」
「本当だね・・・信じていいの?」
「火、吹いて威嚇するなんて脅迫じゃん・・・」
「ああ、ホテルの前で立ち話もなんだから少し歩いたところに公園があるから、
そこで話そう 」
ふたりは雰囲気が悪いまま公園のベンチに座った。
「だから・・・さっきの続きだけど・・・一緒に住んでる女がめちゃ
エロいのに・・・ワインのことね・・・
ただ見てるだけなんて・・・我慢できなくて理性が崩壊しちゃいそうだよ・・・ 」
「あ〜だから他の女とエッチしようとしてたんだ」
「やっぱり黒コゲにしないといけないのかな?」
「エッチはさせない、浮気は許さない・・・許容範囲ってものがないのかよ」
「自分勝手だなワインは・・・」
「だって・・・私だけ見てて欲しいんだもん」
「そんなのわがままだよ・・・」
「じゃ〜どすればいいの?」
「それを俺に聞く?」
「分かってるだろ・・・そんなこと言わなくったって」
「うちへ帰ろ、隼人・・・」
「帰らないよ・・・」
「ワインもいい加減、自分の世界に帰れば・・・」
「優しくないね、隼人・・・」
「俺は、ぜったい無理言ってないと思うんだけど・・・」
「バランスが取れてないことが納得いかないんだよ」
「好きなのに、それ以上に進展がないなんて先が見えない暗闇にいるみたいだよ」
「お互い愛し合ったカップルなら、その行く先は必然的にお互いを求めあうってことじゃないのか? 」
「小学生のプラトニックなままごとじゃあるまいし・・・」
「私はただ・・・」
「それはよく分かってるよ・・・ばばあになりたくないんだろ・・・」
「でもいつかは誰かと、そんな関係になる時はくるぜ」
「俺とじゃなくてもさ・・・俺の知らない他の誰かと・・・」
「そんな悲しいこと言っちゃいやだ・・・」
「・・・悪かったよ・・・ごめん」
「つい興奮しちゃって」
「ごめんな、心の整理がつかなくて・・・優しい言葉かけてやれない・・・」
「今の俺にそんな余裕はないんだ・・・」
隼人はやるせない気持ちと悲しい気持ちでいっぱいだった。
本当は心にもないことをワインに言ってると自分でも分かっていて、自分の
思い通りにならないワインに腹を立てて、素直になれなくて自己嫌悪に
陥る隼人君だった。
つづく。
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