第4話:ニンフってなに?。
「カラシのことより異世界ってなんだよ・・・そうだって言う証拠は?」
「証拠って言われても・・・」
「じゃ〜この耳でどう?」
「そうそう、俺、その耳が気になってたんだよ」
「付け耳してんのかと思ってたもんだから聞かなかったんだ」
「本物の耳だよ」
「まじで?」
「ちょい、引っ張ってみ・・・軽くね」
隼人君はそう言われてワインの耳を引っ張ってみた。
「おお、まじか・・・取れねえな」
「私、ニンフだらね」
「ニンフ?・・・・なにそれ・・・誰それ?」
「こことは違う世界に住んでるって言ったでしょ・・・私、精霊だよ」
「私はね、こっちにいるはずの、お姉ちゃんを訪ねてきたんだけど、そこに行こう
かなって思ってたら隼人が声かけてきたから・・・」
「家出同然で出てきたから異世界へは帰るに帰れなくてね」
「でここにいるわけ・・・」
「ニンフってなんだよ・・・精霊って言ったか?、まじ人間じゃないのかよ?」
「まあ、いいわ・・・あとでネットでニンフのこと調べてみるから」
「別に・・・信じなくていいよ」
「いやいや、信じないって言ってるんじゃなくて、まじでか?、そんなバカな
って思ってるってこと・・・」
「信じてないんじゃんか・・・」
「どっちにしても今夜泊まるところないから、隼人の家に泊めてくれない?」
「お〜いきなりかい?男の部屋にお泊まりって不用心」
「さっき会ったばっかだぞ・・・なのに男の部屋に転がり込もうってか?」
「ダメなら、私、野宿だね」
「向こうではそんなことあたりまえだったから・・・」
「向こうだろうが、こっちだろうが君みたいな子が野宿ってのは、どうかと思う
けど・・・誰か変質者にでも襲われたらどうすんだよ?」
「ってことで俺んちへ来ること決まりだな・・・大歓迎、どうせ俺ひとりだし」
「なんか・・・いかがわしいこと企んでない?」
「ないない、なに言ってんの、こんな紳士的で人畜無害な男を捕まえてさ」
「怪しい・・・」
「疑うならいいや・・・今夜は野宿だな」
「あ〜いやあ、ほんと?助かる・・・お願い、隼人ありがとうね」
そういうとワインは自分の指にキスして、その指を隼人君のほっぺにくっつけた。
「今はこれが精一杯」
「お〜それでも俺なんかいいことありそう、そんな気がする・・・」
隼人君はワインを連れてどこかへ遊びにでも行こうと思ったが、そんなことは
やめて、早く家に連れて帰ることにした。
家に連れて帰ったらこっちのもの・・・下心見え見えだった。
(それにしても、ニンフってなんだ?)
隼人君はワインの正体を早く知りたかった。
(もしかしてコスプレーヤーとか?)
(それとも、異世界ファンタジー系オタクとか・・・自分がそういう種類の
人って信じきってる変わった子とか・・・)
(でも、あの耳は本物だったしな・・・)
ワインは隼人君ちに、お邪魔することにしたのは、とりあえずなんでもいいから
落ち着きたかったからだ。
異世界へ帰るつもりはないんだから誰かのお世話にならないと始まらない。
隼人君が声をかけなかったらワインは公園のベンチで寝るか橋の下で野宿
ゆくゆくはホームレスになっていたかも・・・。
隼人君はワインをアパートに連れて帰るとヤレ気味のソファに彼女を座らせて
ゆっくりするように言って自分はスマホでニンフのことを検索してみた。
そしたらば・・・
ニンフとは神話上の生き物で美しい女性の姿をした精霊。
彼女たちは下位神格で種類は水や泉、森、木々と多種多様で様々な精霊がいる。
神でも人間でもなく、また不老長寿だが不死ではない。
男を求めてさまよい誘惑する。
ニンフは基本セックスしないでいると、いずれ干からびて死んでしまう。
と書いてあった。
隼人はニンフの存在がどんなものか初めて知った。
異世界にはそういう種族がいることを知って改めて隼人君はワインをまじまじと
見た。
「なに、見てんの・・・あ〜いかがわしいことでしょ?」
「男はいつだっていかがわしいこと考えてるのが普通なの」
「あおれよりさ、めっちゃ興味そそられること見つけたんだけど・・・」
「男を求めてさまよい誘惑するってほんと?」
「ニンフってセックスしないと死ぬってほんと?・・・ってかワインは?」
つづく。
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