第3話:はじめてのコンビニ。

ワインは見知らぬ男「井ノ原 隼人いのはら はやと」なる人物からナンパされた。

とりあえず行くとこもない彼女は隼人君の後をついていくことにした。


「あの〜・・・・」

「あのさ・・・」


「ん?・・・なに?ワインちゃん」


「あのね・・・そのね」


「だから、なんなの?」


「おしっこ・・・」


「え?」


「おしっこだよ」

「漏れそうなんだけど・・・」


「ああ・・・ちょ、ちょっと待って」


隼人君は周りを見渡した。


「おう、あそこにちょうどコンビニがあるわ」

「あのコンビニのトイレ借りよう」


「こんびに?」


「そう・・・コンビニ・・・知らないってわけないよね」


「ああ、知ってる・・・こんびにだよね」


ふたりは道路を横断してコンビニに入った。


「わ〜いろんなもの置いてるんだ」


ワインは、はじめて入ったコンビニでいろんなものに目移りした。


「もらっていい?」


「そのまま持ってちゃうと万引きになるよ、お金払わないと」


「万引き?・・・・お金って?」


「うそお・・・そんなことも何にも知らないの?」

「義務教育受けてるんだろ?・・・って、そうか外人さんだもんな」


普通、外人でもそのくらい知ってるだろう。


「それよか、トイレに行きたいんじゃなかたっけ?」


「トイレって?」


「トイレだよ・・・おしっこするところ」

ワインが困ってると隼人君は彼女の手をひいてコンビニのトイレに連れて行った。


「ほら、この白くて丸いところに座って・・・そこでして・・・」


(本当になにも知らないんだな・・・おかしいだろ、それって)

(フランス人ってみんな、あんなのか?)


しばらくしてワインがトイレから出てきた。


「ちゃんと流した?」


「知らない・・・」


「もう、用を足したら、ちゃんと流すんだよ」


そう言って隼人君は、またトイレに入ってワインが出したモノを流した。


「ね、あれ食べれるんでしょ」


「え?・・・」


ワインはコンビニの棚に陳列されていたサンドイッチを指差した。


「あれが欲しいの?」


「朝から、なにも食べてなくて・・・」


隼人君はしかたないなって顔で、そのサンドイッチをレジに持って行った。

ふたりは少し歩いでベンチに腰掛けてワインはコンビニで買ってもらった

サンドイッチを食べた。


「隼人も食べる?」


「俺は大丈夫だからワインちゃん全部食べていいよ」


「ワインでいいよ・・・ちゃんはいらないから・・・」


「じゃ〜ワイン・・・聞いていいい?」


「なに?」


「ワインってさ、家はどこ?」


「ん〜森の中・・・」


「森?・・・どこの森?」


「ローレルローリエの森・・」


「ろーれるろーりえ?どこにあるのその森?」


「ここじゃない場所・・・」

「私はこことは違う別の世界から来たの・・・」


「は?・・・なに言ってんの?」

「フランス人じゃないのか?」


「それは隼人が勝手にそう思っただけでしょ?」


「だから、私はここと違う世界から次元を越えて今日、今朝、やってきたの」


「なに、バカなこと言ってるんだか・・・」

「俺をからかってるんだよね?」


「いやいや、からかってなくて・・・」


「じゃ〜証拠・・・その違う世界から来たっていう証拠見せてよ」


「証拠って言われてもね・・・」

「このちょっとピリッとくるの、美味しいね、なにこれ?」


「多分そのサンドイッチ、カラシが入ってるんだろ・・・」


「カラシって?・・・なに?」


「・・・・・・(⌒-⌒; )」


「ん〜カラシについてのウンチクを語るほど、俺カラシに詳しくないし・・・」


つづく。


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