第7話

薄暗い酒場の隅で、グレソは昨日と同じく、一人静かに酒を飲んでいた。


その心の内には仲間を見捨てた後悔が渦巻いている。


寂しさと痛みを忘れようと、酒のグラスを何度も重ねていた。


「なあ、昨日より味薄くない?量も減った気がするぞ」


「敗戦の影響でしょうな」酒場の店主はさも他人事のように返事をした。


賑やかな酒場の中央では、笑い声とともに人々が楽しんでいる。


しかし、グレソの目には、それが遠く感じられた。


その真ん中にいる一団が、やがて彼の元へ向かってくるのを見て、彼は一瞬警戒心を抱いた。


一団のリーダーらしき男が大きな声で宣言する。


「おい、そこの若造!酒に溺れているばかりじゃなくて、こっちに来いよ!」


その声は自信に満ち、周囲の注意を一瞬引きつけた。


グレソは無視しようとしたが、男は優雅な身のこなしで彼のテーブルに近づき、ニヤリと笑った。


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