グレソ バカ一代

第6話

シルヴィアの言葉は、今も彼の心を突き刺す。

「…真実？」

グレソはグラスに注ぎ込まれた酒を一気に飲み干した。

苦い味が、彼の心をさらに苦しめる。

「…俺は、彼らを置いてきた。一人で生き残った…。」

グレソは顔を覆い、深い溜息をついた。酒場の喧騒が、彼の耳に届かなくなる。

「…なぜ、俺だけが…。」

なぜ、彼だけが転送されなかったのか。なぜ、彼だけが生き残ったのか。

魔法陣の調査の結果が出るまで、４日間ほど時間がかかった。

そしてその間に戦いは終わってしまった。

グレソは、拳を握りしめ、地面を蹴り上げた。

「俺は…何のために頑張ってきたんだ…？」

グレソは自問自答する。

「仲間を助けることもできないなんて…ダメだ。そんなことを考えても…。」

彼は再びグラスに酒を注ぎ、それを一気に飲み干した。

グレソは、もう何も考えられなかった。

彼の心は、深い絶望に飲み込まれていく。

「…ノウキン…ケンジャ…。」

グレソは、彼らの名前を呟きながら、酒を飲み続けた。

彼は、一人きりで、この酒場で、彼らのことを思いながら、酒を飲み続けた。

　彼は酒を一気に飲み干し、グラスを乱暴にテーブルに置いた。

アルコールが体中を巡るが、心の痛みは消えない。

「こんなところで飲んでいる場合じゃないのに…」グレソは苦笑いを浮かべた。

「情けないな…俺は…」

　彼は顔を覆い、涙を堪えた。

仲間を置き去りにしたこと、助けられない自分の無力さが、グレソの心を深く苛んでいる。