グレソ バカ一代

第3話

「ほら、きたぞ！」ノウキンが興奮気味に叫んだ。

その瞬間、強烈な閃光が彼らを包み込み、周囲の風景が歪み始める。

グレソは目を閉じながら、異世界での冒険を想像していた。

ケンジャは腕を組んでただじっと立っていた。

しかし突然、異変が起こった。

グレソの体が魔法陣の中で冷たく硬くなり、彼は転送されず、周りだけが眩しい光に飲み込まれていくのを感じた。

「グレソ！？」ノウキンが叫ぶ声が耳に響く。

彼の声が徐々に遠ざかり、グレソは不安に駆られた。

気が付くと周囲には誰もおらず、彼だけが取り残されていた。

魔法陣の光は消え、静寂が広がる。

「なにが起こったんだ…」グレソは呆然としてぼやいた。

「おい誰かいないか！？」建物中を探しまわったが誰もいない。

心の中で、仲間たちのことを思い浮かべる。

何がどうしてこうなったのか、理解できない。

なぜ自分だけがここに取り残されたのか。

「みんな…」自分の声が小さく響く。

建物の中は静まり返り、月明かりが彼を一人ぼっちに照らしていた。