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「「「かんぱ〜い!!」」」
ガチャン、と複数のジョッキやグラスが乾杯の音頭とともに音を奏でる。軽快な音楽とガヤガヤと飛び交う様々な声。
従業員がせわしなく動いて、次から次へと料理や飲み物を運ばれてくる。
隣の個室もどうやらどこかの大学のコンパのようで、お店の中は団体客で賑わっているみたいだ。
壁一枚隔てているのに、隣からは奇声とも取れるような大きな笑い声などが聞こえてくる。
まるで騒音…。横にいる人と話すのがやっとな状態だ。
「へぇ、綾ちゃん実家なんだ?ざんねーん」
「残念ってなに〜!ゆーすけくんチャラーい」
「よく言われるー。てかさ、LINE教えてよ」
「えー、どうしよっかな〜」
まぁなんというノリの良さ。
さすが綾ちゃん、持ち前のコミュニケーション能力を発揮してすごく馴染んでいる。
ここはダンスサークルで昨日の放課後、別のサークル見学が終わって帰ろうとしていたところ、門の前でダンスをしていて綾ちゃんと一緒に足を止めたのだ。
おそらく新入生向けにパフォーマンスしていたのだろうけど、踊ってる姿は凄く格好良くて、結局最後まで見ていった。
20時半を回っていたけど魅了されて残っていた新入生は大勢いて、私もその中の一人だった。
そして帰り際に新歓コンパのチラシをもらって、今に至るわけだけど…
「まじっ?彼氏いないの!?」
「そーなんです〜。今、ぼしゅーちゅーです♡」
「え〜、俺エントリーしちゃおっかな〜」
「もー、いい加減にしなさいよ〜。酔いすぎ!アンタ彼女いるでしょ」
「いって!なにすんだよっ。つかもう別れたっつの!」
「は?もう!?まだ一週間もたってないじゃないの」
「………」
非リア充の私にこの空間は難易度が高かったと、早々後悔していた。
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