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「うっわー。混んでるね」
なんとか二席確保できたもののカフェの店内は凄く混んでいて、同じ新入生らしき人たちが大勢いる。
昨日行った学食の方も新入生で賑わっていたから、この4月いっぱいはきっとこんな感じなのかな。
「はー、明日からいよいよ授業始まるのかぁ。どんな感じなんだろ。キンチョーする」
「オリエンテーションとか説明会もろもろ今日で終わりだもんね。なんか、長いようで短かったなぁ…おかげでまだ荷ほどき終わってないよ」
「あ、そっか。うめは下宿か」
「下宿ってか一人暮らし。本当は寮にしたかったんだけど、意外と高くてね」
そう。
私立ではないからと高を括っていたのだが、新設で女性専用のセキュリティシステム完備というなんとも立派な寮で、それはもう…。安い寮も勿論ありはしたけど駅から遠いし、年季の入ったオンボロ寮だった。
何故こうも両極端なのだろう。
それよりかは、自転車で通える距離のそこそこ小綺麗なアパートに住みたいというもの。
住宅地の入り組んだところにある私のアパートは、オートロックも無いし夜道は薄暗くて女性の一人暮らしにはいささか不安だけど、値段も距離もちょうど良かった。
南向きだし、私にとっては快適な家で気に入っている。
「隣だっけ?地元。一人暮らしだと家具家電とか揃えるの大変そうだね。ていうかさ、親とか手伝いに来てくんないの?」
「んー…なかなかね。うち両親共働きだからさ」
当然のように注文した大盛りのカレーライスを頬張る綾ちゃんに、私の方こそ、その細い身体の一体どこに入るんだと聞きたい。
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