第七章


 それからナナは、日が落ちた頃にイグメイと共に祈るようになった。イグメイは相変わらず起きた時には既に祈っていたが、朝から起きて祈るのも大変だろうという理由でナナが共に祈るのは夜だけだった。

 月の光が小窓から差し込む時間帯になると、ナナはイグメイの元へ向かい、共に並んで祈った。神の事を信じたわけでは無かったが、イグメイと祈っている時間はただ牢の中で居るだけの時間よりも気楽だった。

 イグメイは毎日祈っていて、祈る時は必ず壁際から少し離れて光が差し込んで来る場所に移動して祈った。祈る場所が変わることは無く、何故そこで祈るのかが気になった。そして多少気を許し始めた頃、何故そこで祈るのかと問いかけてみた。

「空が見えるからです。神が何処に居るのかはわかりませんが、空は何処とも繋がっています。ならば、空に向かって祈れば届くと信じているのです」

 イグメイはそう答えた。イグメイはただ純粋に神を信じているのだと思った。前に言っていた言葉を思い出す。祈ることで、教えを守ることで救われる存在が居る。自分がそうであるようにと。

 共に祈る時間が増えると、共に居る時間も増えていった。最初は祈り終わっても何も話さず元の場所へ戻るだけだったが、段々と祈り終わった後に話す時間が増えていった。

そうやって過ごす内に、最初は話し終わると元の場所に戻っていたのが、いつの間にか男の隣で過ごすようになった。行き来が煩わしいという理由もあったが、イグメイは徐々にナナの心に入り込んでいた。それに陽や月の光が小窓から差し込んで間近に落ちて来る場所は、何の光も差し込んで来ないただ壁際に座っているよりも多少気分が軽くなるように思えた。

 その頃になるとイグメイは朝の祈りをやめ、日が沈んでからだけ祈るようになった。何故なのかと問いかけてみると少し遠慮がちに、自分が祈っているとナナが祈らなければと思ってしまわせてしまうかもしれないからと答えた。気にする必要など無いと思ったが、その優しさにイグメイが善良な人間だと疑わなくなっていった。

 長く共に祈ると、必然的にイグメイと自分の違いというものに意識が向かった。祈っていても言葉が返ってくるわけでは無く、何かを達成したわけでも無い。ナナには未だ祈れているという確かな実感が無かった。

「……祈る時、何を考えてるの?」

「何を考えて……ですか?」

「……何を考えながら祈れば良いのか……わからなくて……」

 言葉を発する内に、段々と声が尻すぼみになっていった。これだけ共に祈っていたのに、と失望されるかもしれないと思った。

「……私は、あらゆる人に不幸が訪れないように祈っています。これ以上、この世に不幸な方が増えないように」

 しかしイグメイはそんな様子は見せず、優し気な声色でそう答えた。その答えにどう返せば良いのかわからず、「……そう」とだけ返した。

「もしも何を考えれば良いのかわからなければ、何か悔いたいことを頭に浮かべれば良いかもしれません。それを本当に悔いていれば、神様がお許しになる日も来るかもしれません」

 イグメイは質問の意図をわかっていたようで、続けてそう答えた。悔いたいこと、という言葉が耳に入り、何も答えられなかった。

 その日の夜、祈る際に今までの自分の行いを思い起こした。悔いたいこと、後悔している事。それはやはりザックに言われ盗みに入った際のもので、その記憶が鮮明に浮かんでくる程自分の罪が深まっていく気がした。ただ行っていた祈りが段々と小さな苦痛を帯びていったが、イグメイに言われたからという理由がナナに祈りを続けさせた。


 ナナが朝目を覚ました時、いつもイグメイはナナよりも早く起きていた。ナナが目を覚ましたのに気付くと、「おはようございます」と優し気な声でそう言った。ナナはそれに小さな会釈だけして返すと、そこで衛兵が入ってきた。パンとスープを置き、バケツを交換していった。数人の男と女がパンを取り、それを待ってからイグメイもパンを取りに行った。ナナもそれについていき、パンを取った。

 ナナと一緒に過ごすようになってから、イグメイは前より早くパンを取るようになった。その理由を聞きはしなかったが、自分がパンを取らないとナナに遠慮をさせてしまうと思っているのかもしれない。真意のほどはわからないが、イグメイと居るとそういった細やかな気遣いを感じることが多かった。

 ナナがいつも通りパンを食べ終えた所で、胃が活動して腹が鳴った。

「やはり満腹にはなれませんよね」

「あ……いや……」

 イグメイの言葉に、どう返せば良いのかわからなかった。空腹なのは間違いなかったが、空腹故に腹が鳴ったわけでは無いのは自分でわかっていた。しかしその返答を遠慮として受け取ったのか、イグメイは手に残っていたパンを半分ほどに千切り、その半分を差し出した。

「どうぞ」

 予想外の対応に、思わず受け取れないと首を横に振った。

「私はここでの生活が長いですし、胃が小さくなって……というか、慣れているんです」

 空腹に慣れているのはナナもそうだった。その為断ろうとしたが、ザックと過ごした時間の中で相手の提案を断り辛くなってしまっており、パンを受け取ろうと手を出した。するとイグメイはナナの手を握り、それからパンを手に乗せた。少し違和感があったが、気にすることなくそのまま受け取った。

「……ありがとう」

「いえ、大丈夫ですよ」

貰ったパンを一口食べた。隣で食べるのは罪悪感があったが、ザックと居た時のような恐れは殆ど無くなっていた。イグメイが今までナナが出会ってきた中で恐らく一番善良な人間であるという事は理解出来ていた。その為、イグメイが自分に対して軽蔑するような目を向けるという事自体が想像出来なくなっていたし、そういった思いが深くなるにつれて、ナナはイグメイに対して恐れのようなものを感じなくなっていった。しかし一方で、何故こんな善良な人間がここに居るのかという疑問が膨らんでいった。

ナナは盗みを働きここへ入れられた。他の人間がどうなのかはわからなかったが、イグメイもナナと同じかそれ以上の事を行ってきたのだろうかという想像が浮かんだ。直接答えを問う事も出来たし、それでイグメイがナナを冷たくあしらうような事が無いとも思えた。ただそれを問いかけると、自分がここへ来た理由にも必然的に手がかかってしまうと思った。それで善良なイグメイに失望されることが怖かった。

「そういえば、神様の存在の証明は難しい事かもしれないと言いましたが、実際には天使がこの世に顕現した事があるという噂もあります」

 パンを食べ終わり少し会話をしていた中、イグメイが思い出したようにそう言った。天使というものの意味がわからず、首を傾げる。

「ああ……天使というのは神様の使いのようなものです。……あくまで噂ですから、本当かどうかはわかりませんが、実際にその天使の羽で作られたという道具が存在しているという話もあります。私は見たことがありませんが……」

「……居て欲しいの?」

 話をする際の反応を見て、ナナはそう問いかけた。イグメイは少し視線を落とす。

「……もしも本当に居てくださったら、聞いていただきたいことが沢山あります」

 イグメイが静かにそう答えた。イグメイの聞いて欲しいと言う事。それはここに来た理由に関することなのだろうかと思った。

 祈る際、悔いたいことを思い浮かべれば良いと言っていた。それを神様が許してくれるかもしれないとも。ナナの中にあるそれが、イグメイの中にもあるかもしれない。そう思うと、その内容に強く意識が向かって行った。

「……イグメイは、なんでここに」

 ふと、その問いが言葉になって漏れ出た。

「……私は……」

 イグメイは少し語り辛そうにして、その反応に少し焦りを覚えた。

「私は元々、教会の神父をやっていたんです。前はこの街にも教会があったんですが、今は色々あって無くなってしまって。それからはこの街で教会が無いながらも活動を続けていたんですが、私以外にもそういった活動を————それも悪い形で行っていた方たちが居たようで、それをよく思わない方々によって巻き込まれるような形でここに入れられてしまいました」

問いに対し、苦笑を浮かべながらそう語った。「……そうなんだ」、と。そう返す事しか出来なかった。イグメイがここへ来た理由は巻き添えのようなもので、悪事を働いて来たわけでは無かった。イグメイはただただ善良な人間で、ナナとは違った。

「……出られないの?」

 話題を少しずらす為にそう問いかける。

「ここに居る方々は皆管理を殆どされていないようで、もう誰がいつまで収監されているかなどは殆どわかっていないんです。なので、勘違いで収監されたと言ってもそもそもこの牢の中からだと証明する手段さえ無いんですよ」

 イグメイの言葉に、自分もこの牢をずっと出られないかもしれないという不安が強くなる。

「じゃあ……いつ出られるの?」

「さあ……わかりません。外からお金を渡すなどすれば出してもらえるみたいですね。何人か、それで出ていった人を見ました」

 生憎自分には無理ですけどね、とイグメイはそう続けた。ザックが言っていた、出してやるという言葉の意味はそういう事だったのだろう。

「……貴女は?」

 イグメイの言葉に体が固まった。当然の流れだった。話題を逸らそうとしていたが、やはり逃げられないという思いが強くなった。

「……私は……」

 何を話せば良いのかわからなかった。自分はイグメイに質問しておいて、イグメイが正直に答えて質問を返すと答えに詰まってしまう。自分の卑怯さに悲しくなった。

「……誰にでも、人に言いたくない事があるものです」

 それ以上何も言えないナナを見て、イグメイがそう口を開いた。

「ここに来ているのです。何か、過ちを犯したのでしょう」

 その言葉に今までの事を責められているような気がして、イグメイの方を見ることが出来なかった。

「ですが、ここは罪を犯した方が集まる場所です。私がここに来たのも、きっと何かの運命なのでしょう」

 イグメイの言葉に、心が軽くなる。そして同時に、自分だけが隠し事をしていて良いのだろうかという思いも浮かぶ。

「……私は、お世話になった人が居て……その人に言われて、盗みに何度も入って……それで……」

「……そうですか……」

 イグメイはそう言ったまま、しばらく何も言わなかった。沈黙の時間が恐ろしく、そして長く感じられた。

「……貴方は、どう思うの」

 やがて怖くなって、自分から問いかけた。

「……いけないことではあると思います。単純に罪でもありますし、人の営みを……人の平穏な日常を破壊する行為ですから」

 その言葉に心が締め付けられた。イグメイの言っている通りだった。

「……しかしその行為自体を悪くは無いという事は出来なくても、貴女が悪いと断定することは出来ないと思います」

 イグメイが目を見ながらそう言ってナナの手を取る。

「憎まれるべきは罪であり人では無いと思います。貴女がここに居るという事実は変わりませんが、少なくとも私は貴女を責めることは出来ません」

 自分を肯定するような言葉に、心が軽くなるような気がした。ナナの手をイグメイが両手で包んだ。その手を受け入れようと

 した所で、視界の端に一人の女が写った。その女はイグメイを睨んでおり、イグメイがナナの手を包むとよりその視線は鋭くなっていった。

 確かにイグメイの事は善人だと思っている。しかし、何故かイグメイを睨む女の眼差しから目を離せなかった。




「そろそろ始めましょうか」

 イグメイがそう言った。ナナは座り方を変え、月の光が当たる場所に移動したイグメイの隣に座り直した。

「……少し背筋が曲がっていますね」

 そう言って、イグメイはナナの肩を掴んでからナナの背中を触った。イグメイが手で肩を後ろに引き、背中を押した。背筋が伸び、少し体が辛い姿勢になったような気がした。路地裏で過ごしていた頃からずっと背中を丸めて座っていたため、背筋を伸ばした姿勢をしようとすると体に違和感があった。しかしイグメイがそう言うならと、それを受け入れることしか出来なかった。作法などは無いという言葉が思い出されたが、あれはあくまでも祈り始めて間もない人間に対して言うものなのだろうと思う事にした。

 イグメイは肩を掴んでいた手をナナの腕に添わせるように徐々に下げながら離し、背中に当てていた手を背中をなぞるように下げた。思わず肩が跳ねる。言い様の無い心地の悪さで鳥肌が立ったが、イグメイの手はナナの臀部に差し掛かる所で離れ、イグメイはやがて何事も無かったかのように祈り始めた。

 イグメイが祈り始めたのを認識してから、ふと横目で祈る姿を見ようと思った。しかしナナは目を開くことが出来なかった。ここでイグメイを見ると、信じることが出来なくなる気がした。

 ちらりと、いつもイグメイを睨んでいた女を見た。その女は未だイグメイを睨み続けている。その意味は未だ分からなかったが、イグメイがナナに過剰に触れるようになってから、その視線は鋭くなっていったような気がした。

過剰な体への接触や、女の視線。それらがイグメイへの小さな疑念を生み始めた。それと共に、そんな疑念を嫌う気持ちもあった。嫌っている気持ちが自分にとっての本心であったし、そんな疑念などすぐに消えると思っていた。しかしそんな思いとは裏腹に、イグメイのナナへの接触はさらに過剰になっていった。

 肩、背中、太腿、首元。イグメイと過ごす中で、身体に触れられる回数が明らかに多くなっていった。それに加え、イグメイの視線が時々ナナの脚などに向いている事にも気付いてしまい、何も気にしていなかった脚の露出を気にするようになった。

何故こんなことをするのかという疑問と悲しみが押し寄せたが、今まで見せられたイグメイの善良さを思うと、過剰な接触を強く拒否することは出来なかった。



 いつも通り目覚め、イグメイが先に起きている。

 衛兵がパンとスープを持ってきて、二人がそれらを取った。ナナはパンを取る際にスープを一口飲んだ。それから元の場所に戻ると、イグメイがナナの顔を見た。

「スープが少し付いていますね?」

 そう言いながらナナの顔に手を伸ばした。思わず少し顔を背けたが、イグメイが好意で行う行動を拒否することが出来ず、イグメイはそのまま手をナナの頬に当て、親指でナナの口元を拭った。それで終わるかと思いきや、ナナの頬を手で撫で、その手を首元へと滑らせた。誤魔化しきれない不快感が肌の上を通り、やがて鎖骨の辺りを撫でようやく手を離した。

 イグメイの接触はより過剰になり、何か理由を付けてナナの身体や顔に触れる事がかなり多くなった。しかし、先程まで過剰なのは初めてだった。イグメイに触れられた口元を腕で拭いたくなったが、イグメイを傷つけてしまうかと思い出来なかった。


「では、祈りを始めましょうか」

 やがて夜になり、イグメイがそう言った。複雑な心境だったが、いつも行ってきた祈りを断るわけにはいかなかった。頷き、いつも通りの体勢になった。横目にイグメイを見て、目を閉じ祈り始めたのを確認してから自分も目を閉じた。

 祈りながら、イグメイがどうしてナナに触れるのかを考えた。ザックはナナに触れようとはしなかったし、そういった事をする人間に出会ったことが無かった。全てただの善意で、自分が大袈裟に感じてしまっているだけかもしれないとも考えていたが、最近のイグメイの手つきや雰囲気から、善意でやっている可能性は自然と排除されていった。

「……何か、恐れるような事でもありましたか」

 祈っていると、イグメイがそう言った。その問いかけにどう答えれば良いのかわからなかった。今悩んでいるのはイグメイに関することで、むしろ質問にどう返すかと考える前に、自分の中にある訝しみを見透かされたようで、少し恐ろしかった。

「……いや……」

 やがて短くそう答えた。あまり長く言葉を交わすべきでは無いと思った。

「怖がらなくとも大丈夫です。この牢に、そう簡単に人は入ってきません。ある種守られているとも言えます。それにここには私も居ます」

 そう言いながらイグメイがナナの肩に触れ、もう片方の肩を抱いた。嫌悪感が肌を撫でる。困惑よりも先に拒絶の感情が跳ねまわり、手を跳ねのけたい感情に駆られた。しかしそれを抑えようとするナナを尻目に、イグメイがナナの身体をまさぐるように触れ、やがてその手がナナの胸の膨らみを捉えようとした所で、思わず手を振り払った。そして腕の中から逃げ後ずさって、壁に背を預けてイグメイを見た。

 今日のイグメイの行動は今までよりもかなり過激だった。言い知れぬ恐れを覚えてイグメイの顔を見たが、その表情はいつもとは明らかに違っていた。イグメイのナナを見る目が、段々と見た事のあるものと被っていく。あの屋敷に盗みに入る前、ザックがナナを見る時のあの眼差し。どうでも良いと言ったような、ナナという人間を無下にしようとするような、そんな。

「……まだ早かったか」

 イグメイが小さく、そう呟いたのが聞こえた。そしてその後、「まあいいや」と呟いたのも。何の話かわからずにイグメイの表情から視線を離せずにいると、視界の端で誰かが立ち上がった。イグメイの顔から一刻も早く視線を逸らしたくて、その誰かが立ち上がった方を見た。その男は立ち上がり、やがて二人の元へ歩いてきた。危険だ、と咄嗟に思った。思わず後ずさると、さらに男がもう一人立ち上がり、何が起こっているのか理解する間もなくさらにもう一人立ち上がった。三人の男たちがナナの元へ歩き、ナナは後ずさるまま壁に背を預けた。イグメイを見た。イグメイは見捨てるような目でナナを見るばかりで、他の人間が近寄っている事に気付いていないように思えた。

「う、後ろ!」

 思わずそう叫んだ。しかしイグメイはその言葉に反応することなく、ナナを見つめている。そこで、イグメイの視線はナナの顔を捉えておらず、もっと下を見ている事に気付いた。その視線はナナの胸の部分へ向けられており、思わず腕で胸の部分を隠した。何かがおかしかった。これほどの事は今まで無かった。

 やがて三人の男たちがイグメイの横を通り過ぎ、ナナの前に立った。ナナは気付いていなかったが、その三人はナナが初めてイグメイに話しかけた時、ナナを見ていた男たちだった。

 やがて男たちはナナへ手を伸ばし、そして一人が肩を掴み、他の二人が脚と腕を掴んだ。掴まれていない方の脚をジタバタと動かして抵抗したが、その脚も掴まれ拘束された。思考を覆いつくしていく恐怖に抗うようにもがいたが、男たちの膂力にナナの力は到底及ばない。地面へ寝かされるように拘束されたナナはそのまま男に股を無理やり開かれ、イグメイがナナの足の間に立った。

「な、何……」

 何をしてると言いたがったが、恐怖で殆ど声が出なかった。これから何をされるのかまるで分らなかったが、少なくともナナにとって恐るべきものであるのは明らかだと思えた。

「じっくり行くつもりだったけど、もう面倒だから今するよ」

 ナナの問いかけに答えるわけでも無く、イグメイがそう言った。前までと明らかに違う声色に、ナナの思考はショートしていった。今起こっている事の全てを何もかも理解出来なかった。

纏っていた布をたくし上げられ、ナナの体が露わになった。しかし恥ずかしさよりも恐怖と嫌悪感の方が強く、とにかく腕や脚へ力を込めた。しかし三人の男たちに殆ど覆いかぶさるような形で拘束され、何も抵抗できない。

「おい、もっと強く抑えろ!」

 男がそう言うと、ナナを抑えつけていた男たちは、よりナナの腕や脚に力を込める。左腕を抑えている男が、体重を込めてナナの腕を押さえつける。男の体重が腕に乗りかかり、痛みが走る。軋むような音と共に襲い来る痛みがナナの抵抗を緩ませ、その間に男はズボンを脱いだ。

 イグメイがナナの両足を掴み、息を荒げる。これから何が行われるのかわからず、ナナはただその得体の知れない恐怖に身をよじって無意味な抵抗をする事しか出来ない。

「チッ、滑らないな。……ちょっとスープ持ってきてくれ」

 イグメイが指示すると、足を抑えていた内の一人が鍋の元へ駆け寄り、おたまにスープを入れて戻ってきた。先程は二人で抑えられていた脚が今は一人で両足を抑えるような体制になっており、それを見てナナは再び抵抗を強める。腕は動かせなかったが、脚は拘束が緩んだ影響もあって動かせそうだった。足を動かして脚を拘束していた男を蹴った。それは男の肩に当たり、少しだけよろけさせた。そのまま脱出しようと考えたが、唐突にイグメイが手を振りかぶってナナの顔を打った。衝撃で、何が起こったのかわからずイグメイを見た。

 しかし顔を打った本人は何事も無かったかのようにおたまを持ってきた男からそれを受け取り、そのままナナの股に流した。冷たい感触に混乱が増していく。

「よし、いけそうだな」

 イグメイがそう言ったが、一体何を指しているのかわからなかった。

 そして何が起こったのかもわからないまま、身を裂かれたような痛みに襲われた。経験も知識も無いナナには、痛みの原因が何かわからない。頭を起こし、何が起こっているのか確かめようとした。しかし覆いかぶさった男がナナの頭を押さえつけ、ナナの頭部は堅い床に押さえつけられた。

 やがてイグメイが何か動き始めると、ナナを襲う痛みはさらに増していく。その度に痛みを逃がそうと体を動かすが、拘束されたままでは何処にも痛みを逃がせなかった。

 しかし痛みには耐えられず、ナナは先程よりも強く暴れ出した。それに応じてナナを押さえつける男たちの力は強くなり、やがて左腕を抑えていた男が過度に力を込め、ナナの左腕に激痛が走った。

「ッああああっ!」

 痛みで声を上げるが、腕の痛みでの声だとは思いもしない男たちはますます力を込める。それと共にナナの左腕は痛み、覆いかぶさったイグメイも動きが速くなる。

 痛みと屈辱で頭がおかしくなりそうだった。目を瞑り、神様、助けてください。と、今まで信じていなかった神に必死に念じた。もはやナナに出来ることはそれしかなかった。手を使わずとも祈れるとは言われなかったが、手を使えずとも祈れるかもしれないと思った。祈りが通じれば、神様が助けてくれるかもしれない。そう思うしか無かった。

 しかしいつまで経ってもナナを襲う痛みは消えず、その祈りさえもイグメイの息遣いでかき消されている気がした。やがて祈る気力さえも奪われていった。

 ふと目を開けると、イグメイがナナの顔を凝視していた。口はだらしなく開き、イグメイの唾液がナナの頬を通って床へと垂れた。息の荒いイグメイの口臭がナナの鼻を衝く。

 イグメイはナナの事をただ真っすぐに見つめ、ナナの事を求め続けているようだった。その目とナナの目が合い、ナナは目を逸らせなくなった。

 身を裂くような痛みと、激しい嫌悪感。拘束されて無理矢理それをされている、そして誰も助けてくれない。そんな絶望しか無い中で、不意にその男の眼差しが、ナナの逃避と求めていたものを確かに授けてくれているような気がした。

 やがてナナは、抵抗するのをやめた。左腕の痛みは増すばかりで、身を裂く痛みは痛みのまま、嫌悪感は嫌悪感のままナナを襲い続けたが、少なくともナナはそれに対する拒否の感情がイグメイの眼差しに飲まれていくのを感じていた。

 やがて行為が終わった後、ナナは解放された。自分に触れていた男たちの感覚が無くなって、体を起こす。そして周りを見た。自分が襲われていても誰も助けようとしなかったその人間たちはいつもと変わらないように下を向き、自分を襲ったイグメイたちも何事も無かったかのように元の場所に戻って座り込んでいる。そしてイグメイは、もう祈っていない。現実感の無い異常な周りの様子とは裏腹に、ナナの中に先程行われた行為の感覚が、その行為の最中のような鮮明さで蘇って来る。痛みも、嫌悪感も、イグメイのあの眼差しも。

そこでふと我に返ったような感覚を覚え、その後急激に何かが込み上げてきた。それを抑えきることが出来ず、やがて盛大に嘔吐した。胃の中の物全てを吐き出すような苛烈さで、その嫌悪感が吐瀉となってナナの身体を出ていった。

 あの行為を、例え気の迷いであっても受け入れた自分が馬鹿らしくなった。冷静になって考えて見れば、理解の出来ないただ気味の悪い行為でしかない。

 周りを見る。ナナを助けようとなど誰一人としてしなかったその周りの人間を。行為が終わり、吐瀉するナナを見ても、誰もナナに声をかけようとはしない。それどころかその殆どがナナを視界にさえ入れておらず、先程ナナを襲ったイグメイたちも、何事も無かったかのように座っているだけだった。

 それが何よりも恐ろしかった。この空間が異常であるという事に、今気付いた。そしてそこに馴染みかかってしまっていたナナもまた、その異常な人間の中の一人になりかけていた。

 左腕が痛む。男から解放されても痛みは引かなかった。痛む左腕を抱えて、ナナはイグメイの隣では無く、この牢に来た時に居た場所へ戻って座り込んだ。右腕で膝を抱え、左腕は動かさずにただ床へと垂らした。

 座り込んだまま、顔を上げることが出来なかった。どうせ皆、顔を下に向けている。自分を見ている人間など居ない。そうは思っていたが、もしも顔を上げた時、誰かと————イグメイを含めたあの男たちと目が合ったらと考えると、恐怖で顔を上げることが出来なかった。牢に来る前、ザックの家で過ごしていた頃の記憶を思い出した。自分と目が合い、怪訝な顔をするザック。ザックはナナに対して直接的に危害を加えて来た事は無かった。しかしもしも、イグメイがナナと目が合い、あんな表情をするような————少しでも不快さを感じてしまったのなら、その後ナナの身には何が降りかかるのだろうか。もしかすると、先程よりも苛烈に危害を加えて来るかもしれない。それが恐ろしかった。とにかく、イグメイたちを不快にさせないようにしたかった。


 結局、一睡も出来ずに陽が登った。衛兵が入ってきて食事やスープを置いていく。衛兵は牢の中に吐かれた吐瀉物を見て舌打ちをした。いつも以上に袋と鍋を乱雑に置き、鍋からスープがこぼれた。そしてそのまま牢の中にあった桶を回収し、持って来た桶をそこらに放って出て行った。

衛兵が出ていった後、最初にイグメイがパンを取った。イグメイが何か動作をするたび、恐ろしくなって緊張が走った。昨日の行為とは全く関係無い行動にも関わらず、いつ自分に危害が及ぶのかが怖かった。

イグメイが元の場所に戻ると、複数の男たちが袋からパンを取っていく。そこで気付いたが、いつも衛兵が出ていった後、最初に袋からパンを取っていっていたのはナナを襲った男達だった。袋の中からパンが無くならない内にパンを取っていく。それは健常な人間である証拠のように思えていたが、実際にそれを行っている人間がこの牢で一番危険な人間達だった。この牢の中での当たり前が全てあの男たちによって形成されているように思え、言い表しようのない恐怖に包まれた。

 元の場所に戻った男たちを横目に見ながら、震える手でパンを取った。パンを手に取って元の場所に戻ろうとした所で、自分がスープを飲み忘れていたことに気付いた。緊張と不安で、いつもパンを取る時にスープを飲んでいた事すら忘れていた。スープを飲みに戻ろうかとも思ったが、それが出来なかった。何かを忘れて一度袋と鍋の元へ戻るという行為は、いつも通りの行動では無かった。とにかく目立ちたくなかった。例え誰もナナを見ていなくとも、いつもの自分と同じだと言外に表現する必要があると思った。

 乾いた喉を潤す手段の取れないまま、ナナは元の場所に戻った。そしてパンを口に運び、いつも以上によく噛んで飲み込んだ。パンを食べ終わると、気取られないように周りを見た。

イグメイはナナと共に過ごす前は朝や食事後に祈りを捧げていたが、今はそんな様子は全く無かった。ナナと共に過ごしていた時はやめていたし、それが続いているのだろうと思った。

 しかし時間が経ち夜になっても、イグメイが祈る様子は無かった。むしろ大きくあくびをして眠そうにしており、そこでナナと出会ってからの今までの行動が全て嘘だったのだろうかと思い至った。今までに聞いたイグメイの思いや、信仰、善意。その全てが、もしかしたら昨日の行為のためだったのだろうかと。

 そう思うと、恐ろしさから体が凍てついていくのが分かった。そんな男と共に長い時間を過ごし、騙されて心を許していた。そして今度は、昨日の事がありながら全員がナナを気にすることなく過ごしている。この空間も、今までの時間も全てが恐ろしかった。

 そんな恐怖がナナを包む中、視界の端でイグメイが立ち上がった。ナナの肩が跳ね、最悪の予感が心を逆立たせた。イグメイがナナの元へ歩き、他の男達も立ち上がる。既に壁際に居たが、恐ろしくて後ずさった。しかしどれだけ逃げたいと思っていても、無駄な事だった。

 ナナはまた襲われた。痛みと恐ろしさ。感情の全てが蹂躙されるような時間が終わり、解放された。昨日と同じように嘔吐しそうになったが、なんとか耐えた。これが、これが続く。そう確信した。

 いくらナナが傷付いた様子であっても、周りの人間は何も干渉しようとしない。それどころか、また何も変わらなかった。それを見るたびに、助けてくれる人間が居ない、この場所を出られないという事の重みを強く思い知らされて精神は擦り減っていくのが分かった。その後はまた一睡もすることが出来ず、そのまま朝を迎えた。

 日が昇り、何も変わらない様子で衛兵が牢の中を訪れた。袋と鍋を置き、桶を好感していく。そこでふと。この衛兵に昨日の事を報告すればどうなるのだろうかと考えた。

 この牢の中では助けを求めても意味が無い。しかし衛兵は牢の外の人間で、この牢の中に漂う常識とは隔離された人間の筈だった。男が数人で一人の人間を襲っている。この事実は、衛兵にとっては当たり前で無い筈だった。

「————あ、あの」

「……あ?」

 意を決して立ち上がり、衛兵に声をかける。兜の隙間から、明らかに苛ついた男の眼差しが見える。衛兵が発した言葉の声色で、ナナは自分が失敗したのだと悟った。男が桶を放り投げ、静かな牢の中に桶が転がる音が響き渡った。そして衛兵がナナの元へと歩いていく。その明らかに平常では無い衛兵の様子に、助けを求めたはずのナナは思わず後ずさった。

「話しかけてんじゃねえ、クソが!」

 衛兵はそう言って、ナナの顔へ拳を振るった。咄嗟に身を躱し、拳はナナの顔を掠めていった。衛兵が振るった腕を見る。その腕には鉄製の籠手が装備されている。もしもその籠手をしたまま男の膂力で顔を殴られたらどうなっていただろうと、そんな想像がナナの頭を巡る。

 衛兵の男が、もう一歩ナナへと近づく。ナナはそれに怯え、下がった。それを見た衛兵の男はまた舌打ちをして、牢の中の桶を回収することなく牢を出ていった。衛兵が牢を出て行っても、激しく鳴り打つナナの心臓の鼓動は止まない。助けを求めた結果、自分を助けてくれる人間など誰も居ないという状況がさらなる現実味を帯びてナナを襲うだけだった。

 そして怯えたまま牢の入り口を見つめるナナを、昨日ナナを襲った男たちが睨んでいた。

 その夜、月の光が差し始めた頃にまたナナは襲われた。男たちに身体を抑えられ、蹂躙される。それ行為は昨日よりも苛烈さを増し、より強い痛みに襲われた。その最中、イグメイがナナの腕を抑える男に顎で指示した。ナナはそれに気付かなかったが、唐突に腕を抑えていた男がナナの顔を両手で押さえつけ、上を向かせた。

「絶対に歯立てるなよ、どんなに苦しくても頭動かすな」

 イグメイがそう言った。一体何が行われるのかわからなったが、顔に湿疹のある男がズボンを脱ぎ、やがてナナの口の中に何かが侵入した。訳も分からないまま喉に到達したそれは強烈な不快感を生み出した。舌が無理やり押され、喉の痛みが強くなった。喉に力を込めてしまい、喉が閉まって余計に痛みと不快感が加速していった。

 息をすることも出来ず、思考が息苦しさで覆われていく。やがて男の一部がナナの中から出て行き、空気を吸った。同時に大きく咳き込み、喉の痛みを鮮明に感覚した。

「また今度やったら……どうなるかわかるな」

 イグメイがそう言った。今度助けを求めれば、今よりももっと苛烈に襲われる。そう告げていた。もしそんなことがあれば、もう自分は耐えられない。そう確信していた。

 やがて全ての行為が終わり解放され、嫌悪感や屈辱など様々なものがナナの心を襲い来てまた嘔吐し、その刺激で喉の痛みが強くなっていった。

未だ周りの人間はやはりナナの事などまるで気にして居らず、衛兵に助けを求めても意味がなく、より苛烈な仕打ちが待っている。助けなど居ないし、助けを求める行為さえ出来ないのだと強く思い知らされた。

 翌日、衛兵がパンの入った袋とスープの入った鍋、そして桶を持って現れた。袋と鍋を置き、昨日衛兵が交換せずに帰っていったものを含めた二つの桶と空の袋、鍋を持ち帰っていった。衛兵の様子からして昨日の人間とは別の人間らしかった。

 いつも通り、イグメイやナナを襲った男たちがパンを取り、それに遅れてナナも足早にパンを一つ取り、元の場所に戻った。

 パンを千切り、いつも通り口に運んだ。しかし口に入れた途端言い様の無い不快感が襲い、えずきながらパンを吐き出した。空腹でない訳では全く無いのに、口に入れた途端何故か体が拒否してしまった。

 理由はわからずに居ると、ふと昨日の行為を思い出した。口や喉に感じたあの中にあの異物感や不快感。口に何かが入っていると、それを思い出してしまうのだと思い至った。

 結局、その日はパンを食べることは出来なかった。次の日になってパンを取る際になんとかスープを飲み込み、それを食事とした。

 いつ襲われるかわからない恐怖から睡眠も取れず、食事もまともにに出来ず、空腹と疲労でピークだった。時間が経つとナナは殆ど意識を失うように眠ったが、やがて違和感から目を覚ますと男たちに襲われていた。ナナが目を覚ましたのに気付くとイグメイが「起きちまったか」とそれを楽しんでいたかのように言い、思わず抵抗すると顔を打たれ、抵抗出来なくなった。

 行為が終わり冷静になると、もしあのまま目覚めなければ自分は襲われたことにも気付かなかったのだろうか、と恐ろしくなった。眠ることが恐ろしくなり、食事も摂れない。気を許せる時間など無く、常に緊張が続いた。

 空腹や疲労で意識も朦朧として、身体が上手く動かない感覚もあった。朝になって衛兵が持って来たスープを飲み、パンを手に持って元の場所に戻った。空腹からパンを手にとっては居たが、ずっと食べることは出来なかった。口に入れられても、喉を通るという所で吐き出しまった。

 今日もそうなのだろうとパンを千切ろうとした所で、今手に持っているパンがロールパンであることに気付いた。しかしそれに対しもう特に何の感慨も浮かべられないほど疲弊しきっていた。それを小さく千切り、口に運んだ。ゆっくりと時間をかけ咀嚼し、飲み込もうとした。咀嚼したパンが喉を通る。それはやがて喉を通り切り、食道を通っていった。それに対し、小さな驚きが生まれた。今までは吐き戻してしまったが、今回はそうでは無かった。手に持ったパンを見る。このパンだからだろうか、という想像が浮かぶ。

 あの路地裏でいつも自分を救ってくれていたパン。それを見ると、自然と心が軽くなった気がした。再びパンを小さく千切り、口に運ぶ。それを咀嚼して飲み込み、再びパンを小さく千切って口へ運ぶ。それを繰り返した。やがて手の中にあったパンは無くなり、久しぶりに腹に何かが溜まった感覚がした。

自分は何故こんな場所に居るのか。そんな思いが強く渦巻いた。

 最初は、ただザックを失望させたくなかっただけだった。失望させてしまうと手にした幸福が無くなってしまうと思ったし、自分の名前を憶えていてくれる人間、呼んでくれる人間はザックだけだった。

 そしてイグメイと出会い、その善性に、そして自分の行っていたことを行う存在に惹かれていった。

 二人の人間に出会い、ナナはそれぞれに希望を見出して何かを手に出来た気がした。しかし、結果はああなった。二人共がナナの願いを侮辱するように踏みにじった。その度に深く傷つけられた。

膝を抱え、痛む腕を抑えた。心も同じように押さえることが出来るなら、今すぐにそうしたかった。そうすることでこの痛みを抑えることが出来るなら、今すぐに。

もう一度衛兵に救いを求めるか、衛兵が食事を持ってきた際に逃げてしまうか。そんな選択肢もあった筈だったが、全ての抵抗を削がれ蹂躙される中で、段々とナナの中にあった筈の選択肢は薄れていった。ザックに従う内、断るという選択が出来なくなったように。選択というもの自体が出来なくなっていく感覚だった。やがて、ナナは抵抗しない方が楽なのではないかと考えてしまうようになった。

 苛烈に襲い来たはずだった嫌悪感や屈辱を、自ら切り捨てることで自分を守るしかないように思えた。誰も助けてくれないならば、自分で助かるしか無かった。しかしそれは自分が嫌悪を抱いたこの空間に、自分も染まってしまうという事だった。そうしては駄目だと何度も言い聞かせたが、言い聞かせるたびに他の方法が何かあるのかという疑問が湧いて出た。そしてその答えを、ナナはずっと出せないでいた。

 ナナは段々と、それを受け入れるようになった。痛みも、抵抗できない屈辱も、今まで見て見ぬふりをしていた、初めて襲われた時に浮かんだイグメイの眼差しへの感情も。やがてそれを牢の中に居ることと共に、日常の一部として捉えるようになった。行為の最中の眼差しはナナに降り注ぎ続け、やがてそれは静かにナナの心を蝕んでいった。

 そこから、二十度ほどの月の光を見た。


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