第44話
「本当の名前は“神山浅見組”(カミヤマアサミグミ)だったんだ。当時、この国の治安は想像絶する程酷かったと私も聞いた。その統一のために作られたのが神山浅見組だったんだ」
「確かその頃、史上最大にして最低‥と言われた抗争があったんでしたよね」
今まで静かに後ろで聞いていた透が口を開いた。
「そうだ。統一に賛成するものは多かった。しかし、やはり悪行を働くものからしたらそんなものは邪魔で仕方ないんだ。四六時中、昼夜関係なく神山浅見組に関係する全てのものを攻撃してきたんだ」
「そんなこと‥」
声だけじゃない。震える小さな手を俺は握った。
「颯‥」
不安に揺れるその大きな瞳。
「大丈夫だ」
前に向き直り親父に先を促す。
「犠牲者なんて言っていいほどの量ではなかった。統一に動き出したのに、招いたのは最悪の状態だったんだ。だからたった1日だけ、神山と浅見と、そして攻撃してきた者の代表者3人で話し合いをした。無駄な争いがこれ以上増えないようにだ」
「まぼろしの1日‥ですね」
透の隣に膝をつく秋。
そう。秋の言う通りまぼろしの1日とは、裏だけでない、表の世界でも有名なほどの1日。
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