第29話
クスクスと笑う私を見つめる颯も笑っていた。なんだか落ち着いた。ありのままの私を好きになってもらおう。
私自身を颯は好きになってくれた。
何も恥ずかしがることなんて最初からなかったんだ。
私の自慢は颯に好きになってもらえたこと。ただそれだけ。
でもそれが一番大切だから‥
「ありがとう颯」
「気にすんな。行くぞ」
「うん!」
差し出された颯の大きな手を繋ぎ、今度はしっかり颯の隣りで歩き出した。
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