第148話
「うっ…ゲホッ、ゴホッ…
はや、て…」
「つらいな、ゆり…」
吐き出す私以上に辛い顔をして見ている颯。大きくて暖かい手、何度も背中をさするその手に吐き出す苦しさとは違う涙が溢れた。
「苦しいよな…。つらいな」
「ごめ、ごめんね…」
「謝るな、気にするな」
颯に言えないことが苦しい。
颯に言えないことがつらい。
そして、颯に言えなくてごめんね。
私達のすれ違い。
颯の手は私の背中にあるのに、触れることができないと思うほどとても遠かった。
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