第145話

「秋さん、連絡…」



携帯をとろうとしたとき、目に入ったのは【図書館はこちら】という道案内の看板。


秋さんのことは一瞬で吹き飛び、気付けば図書館に入って本を読みあさっていた。



不妊治療法…

不妊を治すには…



読んで分かったことといえば、私の不妊レベルは妊娠可能性がまずないということ。あの先生はショックを受けないよう、可能性を捨てないよう優しく伝えてくれたんだということだった。



なんで…



なんで私?



やっと掴めた幸せだった。



それさえも結局私は許されないんだ…



ドンッ!!!



医療用の不妊治療の分厚い本。無意識にテーブルに叩きつけ、その音で我に返った。



「すみません…」



数人の視線を感じ、自分の行動に謝った時、今度は館内に響き渡ったポケットの中の携帯の着信音。 



「…すみま、せん」

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