第131話

「いつもお世話になっております。百合さんを見させてもらったものです」



あぁ。どうやら百合が通っている産婦人科の医者がこのじいさんのようだった。なかなかでかい病院。近くということもあって多額の支援を浅見組からもしていた。だから併せて挨拶してきたわけか。



「百合が世話になってる」



それだけ言ってビルに入ろうとした時



「百合さんのご様子はいかがですか?」



あ?


どういうことだ?


様子も何も…




「百合の様子ならさっき見たんじゃないのか?」



階段の下まで降り、急かすように声をかければ予想だにしない言葉が返ってきた。




うそ…だろ?



百合…



お前は一人でどんな気持ちでいた?



どんな気持ちで俺らの話を聞いていた?



百合…



ただただ、今すぐこの手で抱きしめたかった。

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