第129話

そう言うといきなり反転した景色。気付けばソファーに押し倒されて軽々抑えられる手首。



「時間かけると浅見が来るからな。あいつらなら居場所くらいすぐ分かるだろ?」



「当たり前でしょ」



「なら悪いが今すぐ抱くぞ。最初で最後のチャンスだからな。抱き潰してやる。フッ、帰ってきたら俺の後継ぎ身籠もってたなんて面白いと思わないか?」



ドクンッ…



その一言が私の心臓を鷲掴みにした直後、生温かく柔らかな感触が首元を這った。


気持ち悪い…



今の私にはそれ以上の感情は湧かなかった。首元の感触が下へ降りていき胸元へと辿り着いたとき。



「悪いけど、ーーーー」



「は?」



ことを伝えれば行為を一時中断し私の顔をじっと見つめる男。



「フッ、ますます興味が湧いた」



妖艶に自身の唇を舌で舐め取る姿にこの先どうなるのか。自分でも全く分からなかった。

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