第128話

「フッ、気の強い姫だな」



そう近づいてくると、私の耳元の髪の毛を一房すくい上げ不敵に笑った。当たり前のように私の隣へと座れば



「今頃浅見はどうしてんだろうな」



さぞ面白そうに呟いた。



「なんでこんなことしたの?何が目的?」



油断すると今にも負けてしまう。どこかピリッとしている空気の中、自分を奮い立たせるのに精一杯だった。



「ん?浅見が本気になってる女がいるみたいだから気になっただけだ。お前みたいな女見たことない…。こんな綺麗な奴を一回抱きたいと思っただけだ」



「それだけ?」



相変わらず私の髪の毛に指を通すその男は私のその一言にハマったようだった。



「クックックッ…。抱くために攫った。充分な理由だろ?それをそれだけって言うか。興味が湧いたな」

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